[特別座談会]いまを学ぶ君たちへ~4学部長座談会~

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充実した学びの実現へ、福井大学はこの4月、新たな出発となりました。新設された国際地域学部は「国際」と「地域」を一体にした国立大学では唯一の学部です。教育学部は教員養成に特化した学部となり、医学部では新カリキュラムがスタート、工学部は8学科から新5学科に改組しました。新たな船出のかじ取りを担う4人の学部長となる教育学部の石井バークマン麻子教授、医学部の内木宏延教授、工学部の小野田信春教授、国際地域学部の寺岡英男副学長に、強い思いを語っていただきました。

4学部による大学改革

寺岡 いま大学に対して「国際化」「地域創生」が求められています。グローバル化した地域の課題を考える時、国際と地域を別々に捉えるのではなく、現実の課題を一体として考えていく。定員60名と規模は少ないものの、グローバル社会のなかで、地域創生に役立つ人材育成という非常に大きな使命が課されています。かなり思い切った、従来にない学部だと考えています。

石井バークマン 学生には「教師という仕事の魅力」を大学時代に垣間見てほしい、味わってほしいと思っています。すでに教育地域科学部の時代から大学教員と学生が教育現場に頻繁に出かけ、実践から学ぶというベクトルを非常に大切にしてきました。今後、さらにふくらませ、強くし、実践と理論の往還、融合に学部を挙げて取り組み、一方でアクティブラーニング(AL)という教育方法の開発も進めたい。
専門を問わず、日本語以外に、コミュニケーションが可能な言語をひとつ習得する意味は大きいでしょう。そのためにもこれまで英語の授業を充実させてきました。忘れてならないのは自分を表現するための言語の重要性です。自分の専門を深く学び、日本語以外の言語で意見交換できる学生が増えてほしいと願っています。

内木 いま医学教育の質保証が世界レベルで求められており、教育の質を認証する必要があります。それに合わせ、さまざまな基準をクリアする教育カリキュラムを無事にスタートさせることが責務だと考えています。国際標準化には多面的な意味がありますが、実践から学ぶということで臨床実習を約2倍に増やすことが求められています。それによって自ら行動できる実践力のある医師、看護師を育てていけると思います。基礎医学教育を前倒しして1年生から解剖学の実習が始まり、4年生で病院実習をスタートさせることになります。AL によって、自らの意志で学ぶという姿勢を身に付けることも求められます。地域との関わり、地域医療は大事な問題で、教育とも密接に結びついています。

小野田 工学部は人間の社会と密接に関わる技術について学ぶ学部です。卒業生の多くは技術者として社会に巣立っていく。しかし社会は急速に変化しています。現在ある職業のうち、ITの進歩などによって10年後、20年後にどれだけ残るかわかりません。そうした社会の変革に対応し、技術者として生きるには自ら考える力が求められます。工学部では、これまでも、専門知識だけではなく、その周辺も含めた幅広い知識を持つことで、いろんな状況に対応できる技術者を育成するという観点から教育を行ってきました。今回の改組は、それをさらに深化させることを目的に行ったものです。また、従来から「グローバル・イマジニア」育成を目標に掲げていますが、グローバル化への対応をより強化することも改組の大きな柱のひとつです。
地域の課題を解決することも大切です。そこで、福井県の課題として盛り込んだのが「原子力」と「繊維」の人材育成強化です。大学院には両者について学ぶ課程はありますが、学部にはなかったので、学部段階で取り組む体制を作るため、教育課程を新たに整備しました。

学部から大学を変える

寺岡 国際地域学部の狙いと大学が求められているものには、重なり合うところがあります。一つは「流動性」といいますか、語学力を駆使して海外と交流を進め、グローバルに移動することによる多様な機会の実現がある。昨年タイなどに行き、アジアでも流動性が進んでいると感じました。逆に日本は遅れていると思います。それで、英語については、1年生は徹底的に学び、3年くらいの時に半年ないし1年の海外留学を経験します。
また、地域の生きた課題を考えるとなると、もはや座学では済まない。課題に直面している自治体、企業、関係する機関など他の知的資源と協働し、学生も参加させてもらう。言いかえれば、大学の教育に、自治体や企業にも参加してもらう。そうした連携のなかで、生きた課題をどう解決していくか。そのためにはお互いの関係をどう作っていくかが求められています。
今後は、どう学びのコミュニティを作っていくか。職員や教員がどう関わり、あるいは学外の企業や自治体、地域の人々が入って、多様で多層な「学ぶコミュニティ」を作っていくことが課題となる。国際地域学部は文理融合型で、工学部や医学部とも連携し、学部の枠を超えた教育を行っています。その上で全学に提案し、貢献できると考えています。そうした中で、自律した学びのできる学生をどう育てていくのか。これらを軸に大学を変えていきたいと思います。

小野田 座学を踏まえた上で、創造的な力を育成することが必要です。創造力を育成する教育の方法には、PBL(Project Based Learning)、あるテーマに即した「学生主体の学び」である創成教育、企業に出向いて学ぶインターンシップなどがありますが、それらを他学部との関係の中でもやっていきたい。工学部で学ぶ幅広い知識には、国際地域学部が目指すところ、たとえば「MOT (Management of Technology)」など、重なり合う部分もある。共通する課程が組めないか、大学院教育も視野に入れながら検討していきたいと考えています。
語学力が重要というのは同じ認識です。これについては語学センターと工学部が協力して語学に関するPBLを試行的に行っています。工学部の先生が技術的なところを、語学センターの先生がプレゼンテーション力や英語表現を受け持ち、工学に関わる内容を英語で学ぶことを目的としたもので、すでに大きな成果を得ています。これを工学部から全学に発信していきたいと考えています。また、医学部とはこれまで医工連携の取り組みを行っています。それらの観点から工学部が全学に貢献できないか、可能性を探っていきたいと思っています。

内木 教育という点で、福井大学は福井県にとってなくてはならない、もっと言えば、福井大学の取り組みが日本にとってなくてはならないものにしていく必要があると思います。特に地域医療はいろいろなレベルの「命のセーフティ・ネット」を張り巡らせる必要がある。「最後の砦」として高度先進医療を提供することが一方の極なら、在宅やその他の施設で人間の死に向き合わなければならない。医師、看護師、薬剤師のチームが訪問して治療にあたる医療体制が重要です。福井県はいろんな意味でモデルとなる地域なので、地域と関わりながらその重要性をわかってもらうことになります。
一方、こうした地域の医療と国際化は裏腹の関係にあります。地域や日本に密着する教育と、グローバルな教育を同時に実現する教育が求められます。福井や日本に貢献するだけでなく、世界にどう開いていくか。ベクトルが反対に見える二律背反のものをどう実現するかが課題ですね。

石井バークマン 私はキーワードとして「多様性」と「感受性」という2つを挙げたいと思います。日本はこれから人口が減り、高齢者人口が増えていきます。外国と繋がりのある人々をきちんと受け入れないと国の機能が十分に成り立たないところまで来ています。そうした時、自分と一見違う人を排除せず、受け入れてやりとりしていく必要がある。その際、人間的な幅と感受性、共感性が不可欠なのです。教育地域科学部にも県外出身者がたくさんいます。「福井弁を話すと他県から来た学生に驚かれた」ということも経験しており、18歳で、ある種のアイデンティティを突きつけられることもある。各地の方言は多様性そのものであり、身近な場所にも、他県人や諸外国からの留学生など自分とは異なる背景を持つ人たちと触れ合う機会がたくさんあるわけです。一見小さな、しかし大事なチャンスというものがある。それが自分自身の「日本人性」の発見に繋がっていくと思います。グローバル化が進む世界において、人の行き来が盛んになり、日本ではない国や地域を舞台に仕事をする卒業生も出てくるでしょう。一方、「福井の地でやっていきたい」という学生も私たちは育てないといけない。学生の適性や人生設計に対応できる多様性が、私たち教師の方にも必要になってくる。
全学の中での教育学部という視点に立ち戻り、教育基本法に明記されている教育の目標を読むと、小・中学校の重要性が再確認されます。教育学部は「初等教育コース」を新たに設置しました。児童生徒や保護者から信頼され、人間的な幅をもち、しっかり教育ができる教員を育てるという非常に大きなミッションを持っています。現状を冷静に認識しながら子どもたちと向き合う力を培えるカリキュラムの開発と機会の提供を意識し、丁寧な助言・指導をこれからも積み重ねていきたいと考えています。

多様性を理解し、感受性、想像力を身につける

寺岡 内木先生から、グローバル化と地域は二律背反だという問題提起がありました。新学部は英語を学ぶ動機付けとして、一つには海外留学、そのために英語を学ぶ。地域の閉じた経験ではなく、海外留学で広く経験を積むことで、地域の課題を改めて捉え直すことができないか。石井バークマン先生が言われた多様性でいうと、交換留学制度でいろんな国の学生が来る状況を実現したいと思いますね。
改組前の教育地域科学部では、海外移住者の教育や生活支援を、踏み込んでやっている先生もいます。そこに、海外留学した学生が問題意識を持って参加している。新しい学部ではそうした取り組みを、企業や自治体、地域と協働した「課題探求プロジェクト」で取り上げたいと考えています。

石井バークマン 大学院に「協働実践研究プロジェクト」という、専門を超えたプロジェクトがあります。中国やフィリピンなどの留学生と日本人学生が教員と一緒に、共通のテーマを立ててフィールドに出かけて研究します。育った国や視点が違う人とやりとりしながら進めるわけですから、文化や社会、歴史の違いからくる視点の面白さなど、互いに発見がありますね。共通点もわかります。

小野田 工学部の教育は、技術の側面からでもいろいろな切り口がある。それをどう捉えていくかは、工学の大きな「学びの形」です。技術を使う人の気持ちになるには、まさに想像力、感受性が大切です。技術というと固いイメージがありますが、人間をよく理解しておく必要があり、そこが「これからの技術者」にとって一番大事な部分になりますね。それを工学教育のなかで、どうやって身につけてもらうかを考えていく必要があります。
人の心を思いやることが、人類への貢献へと繋がります。科学技術は人類にとってプラスの面だけでなく、福島の原子力発電所事故など負の要素があるのも事実です。人類にどのような貢献ができるか、人文系の学問も含め、深く学ぶことが大事だと思っています。

地域の課題は世界に共通する

内木 地域医療は「たこつぼ」のような世界で、世界から最も遠ざかった隅っこの場所という考え方もありますが、実はそうじゃない。地域の問題を掘り下げていくと、同じ問題が都会にもある。高齢化して一人暮らしで病院にも入れない。地域で支えないといけない。これは日本だけじゃない。世界でも直面している問題ですね。一見、「たこつぼ」のような問題が世界的な広がり、普遍的なものを持っている。地域を掘り下げていくことが、世界から離れるのではなく、世界共通だという発想を学生に理解してもらうことが一つの目標です。

寺岡 地域の課題そのものが日本国内の地域に限定されず、いろんな地域に共通して見られる。それだけではなく、また国際的に抱えている課題でもある。そうした趣旨から新しい概念としての「国際地域」を考えています。その意味からも、他の学部と一緒にやらせてもらうと大変有り難いですね。福井が現実に抱えている問題に課題探求プロジェクトなど専門の科目で入り込んでいくわけですが、福井と他の国内地域に、どんな関連した問題があるかもカリキュラムに入れる必要がある。そこにグローバルの視点を加えれば、少子高齢化、若者の都市流入、環境問題など共通の問題は海外にもあることがわかる。地域に具体的に関わることを通して、より幅広い視点で繋がりが見えてきます。

英語好きな学生を増やす

寺岡 海外に留学し、海外からの交換留学生と交流することで、英語への動機付けが高まればいいと思いますね。日本にいると、読む機会はあっても、なかなか英語を話してコミュニケーションする機会がない。そうした機会を増やすため、国際地域学部に海外留学生を多く呼び、キャンパスの雰囲気を変えていく。そこから始めたいと思いますね。

石井バークマン 通訳を介するのと、直接に対話が成立したというダイレクトな実感って全く違うものなんですね。それを一回味わった学生は、やる気になるものです。自分の言いたいことが言語化できて、確実に伝わったという手応えは持続する。自分の中に深く残るものだと思います。国際地域学部の展開は、楽しみですね。

小野田 工学は普遍的な学問で、工学を学ぶことが同時に共通の専門的な言葉を学ぶことになりますが、それを共通の「言語」で話すことが次の大きなステップになるんですね。工学部の学生にとってまず大事なのは、工学の基礎をしっかり身につけること。それを共通の土俵として踏まえた上で、他の国の人とコミュニケーションを図ることだと思っています。今後、学生が海外と直接的に交流する機会は増やしたいですね。学んできたことを他者に伝える重要性を理解してもらいたいと思います。

全国、世界に存在感を高める

小野田 工学部としては幅広い分野をカバーしつつ、尖った部分をどう構築していくかが重要と考えています。原子力発電所が多く立地する福井でいえば、原子力がまず挙げられます。原子力はさまざまな問題を抱えていますが、当面の大きな問題として、たとえば廃炉の技術をどう確立するか。これは福井の問題であるとともに、日本、そして世界が抱える問題です。国際的な共同研究によって、工学部が地域から世界に繋がっていく。それを手がかりに、繊維機能性材料や窒化物半導体など、原子力以外の強みも伸ばしていきたいと考えています。

内木 うちにしかできない教育、研究をいかに育成するかでしょうね。医学部で模索しているのは、「子どものこころ」を中心としたニューロサイエンス(神経科学)を育成していく事です。「子どものこころ」に関する研究は、特徴ある教員集団が形成されている。また、福井大学はエックス線、PETなど画像医学でも特徴ある研究を行っています。
福井大学を外から見た時、一番有名なのは教職大学院です。その仕組みが一方にあって、医学部に「子どものこころ」がある。この組み合わせができる大学は全国に数えるほどしかない。教育学部がこれだけ盛り上がり、注目されている大学はないんですよ。

石井バークマン 福井大学は、日本で最初に教職大学院が立ち上がった大学の1校で、文部科学省から高く評価されている大学院です。それは幸せなことであると同時に、重責を担っているわけですね。先生方は非常に頑張って海外とのネットワーク構築にも努力を重ね、上海師範大学との授業実践交流も展開しています。将来どのように育てていくかは、本学の生き残りにも関わっていると思います。平成32年に学校教育専攻を教職大学院に一元化します。全員が教員養成に貢献できるようなシステムを作るためには、学部および修士課程の先生方がこれまで築いてきた教育、研究の活用と融合が要です。

国際地域学部を全国のモデルに

寺岡 国際地域学部をいかに持続可能な学部にし、発展させていくかは大変なことだと思います。そのために交換留学制度による協定校拡大を進めます。多様な協定校のメニューを学生に提供することが必要ですね。
さらに自治体や企業と連携し、課題探求プロジェクトを1~4年次まで発展的にやります。これは授業というより、プロジェクトですね。これまで企業にお願いしていたインターンシップなどの方法では済まないものが求められている。教員がこれまでの発想を変えた形で関わらないといけない。そして企業や自治体が、その連携の中で国際地域学部をどう評価してくれるか。大きな課題です。
もう一つ、学生がいかに主体的に学んでいくかということで、AL を基調とした教育への転換を図ることが求められますが、これは高校の段階でも求められている。そのために高大接続入試をやります。高大連携など、相互に関わりながら授業を改善し、それを入試に繋げていく仕組みをベースとして考えなければならない。できれば海外まで広げた特別入試を設ける。タイの高校では「日本で学びたいという学生を送り込みたい」と強い希望がありました。その受け皿を作りたい。また、国際地域学部だけでなく、教員養成や工学部、医学部に関心があるという学生もいる。AL などによって学びの形を変えながら、大学教員も関わり、高校生を変えていく。そして能力を持った高校生を大学がいい形で迎え入れる。そうしながら持続可能な学部を作っていきたいと思います。

学部の垣根を越える

小野田 幅広い知識を持った技術者を育成するためには、工学部の教育を超えた教育も必要になってきます。国際地域学部が文理融合を打ち出しているので、工学部の学生にとって必要な知識を教育できるよう双方の教育について検討を進め、それが大学院に繋がることを前向きに考えていきたいですね。医工連携に関しては、少なくとも工学の技術が医学のさまざまな分野で使われていることもあり、医学の現場を知ることは工学部の学生にも、非常に役立つと思います。工学には理学的な側面がある。教育学部との関わりについては、理学的な部分に共通するものがあるので、連携できないかを考えていきたいですね。

内木 昔、工学部の先生の講義に呼んでもらったことがあります。心筋梗塞や心臓にまつわる話を説明したのですが、医療機器をデザインする場合、病気を知ると知らないとでは実感が違う。「イマジネーションを与えることができた」とおっしゃっていました。学生のリアクションも医学部とは違っていて面白かったですね。
地域医療は、教育の面でも、人口減少や多死社会にいかに向き合うかという本質的な問題に直面しています。問題のある児童を教師の目で捉えて支えることは大事ですが、医学的な問題も抱えているわけですから、教育学部で医学の講義をすれば、その視点からも見ることができる。石井バークマン先生がやっている特別支援教育も、まさにそうですよね。
私は医学部管弦楽部の顧問ですが、学生たちはボーダーレスです。団員の半数以上が福井県立大学の学生ですが、大学の垣根なんて超えています。文京にもオーケストラがあって、こちらもキャンパスの距離を超えて定期演奏会をやっています。学生はとうの昔から垣根を超えています。あれぐらい軽やかに超えられたら幸せだなと思いますね。

石井バークマン 工学部と教育学部の関係で言いますと、例えば、建築の先生と接点があるとわかりました。学校教育はインタラクティブな分野です。日本はまだスタートラインに立ったところですが、生徒、学生がアクティブに学ぶためには、教育内容だけでなく、教育環境をどのように整えるか、容れ物の話になってきますね。再編された工学部の5学科にも私たちが教えていただきたいことがたくさんあって、個人的には特別支援教育が専門なので期待しているところです。
医学部の「子どものこころ」に関しては、当面、教職大学院との連携で、何が互いの利点かを具体化できる一年になればと思います。内木先生がおっしゃったように、医療・福祉は、教育にとって本当に近いところにある隣接分野です。私自身、看護学や基礎医学の分野でも、もっと知りたいと思うことはあるので、できることを一緒に模索していきたいと思いますね。
英語教育サブコースでは1年次から、上級生と一緒に英語しか使わない二泊三日の合宿をしていますが、ほとんどの学生が「印象に残った」と感想を述べる。英語を母語とする先生もいますし、サブコースで培ったノウハウと国際地域学部が目指すものはおそらく繋がると思っています。

寺岡 人文社会系の学部ですが、地域が抱える課題に、現実に入り込むわけですから、ニーズに応えるためには、医学、工学が扱う知識を自ずと入れざるを得ない。卒業後、企業や自治体に勤めて直面するのは、文理が入り交じったことであって、そのために学部としてどう教育するか。各学部には連携をぜひともお願いしたい。
小野田先生から「新しい学部にはぜひとも大学院を」と言っていただきましたが、卒業生を出す頃には大学院レベルの受け皿を用意したい。MOT(技術経営)がらみで経営、マネジメントを学ぶ大学院教育だとか、もう一本の柱としては、石井バークマン先生がおっしゃった言語、英語を中心にする教育など、外国語を中心にした言語系の大学院を作ってみたいと構想しています。

福大生のみなさんへ

石井バークマン 大学ですから、おおらかな学問、おおらかな雰囲気をゼロにしたくないと思っています。学生は高校まで受験勉強に励んでいますから、いったんエネルギーが低下することがあるかもしれません。しかし、貴重な4年間、自分をオープンにして人と関わり、真摯に学んでほしい、そして大学時代に自分を発見してほしいと思います。そのために大学や学部は、学生一人ひとりを可能な限り、支援する用意があります。教育地域科学部の在学生は、これからも立派な上級生です。「小さな大学」の良さを生かして縦の繋がりを大事にし、新入生に対しても在学生に対しても個に着目した丁寧な指導をしていきたいと思っています。

内木 大学生活は誰にとっても一生のうち、最も輝かしく、体も元気で、楽しい時間です。その時に、勉強はもちろんしなければいけませんが、自らの可能性を狭めたりせず、友達を作る、クラブに入るなど、いろんなことにチャレンジしてほしい。そして自分の内面に働きかけて、自分を発見する。本を読み、音楽を聴くなどして静かな時間も過ごしてほしいですね。

小野田 工学部は必修科目が多いのですが、自分から積極的に学ぶという姿勢をぜひ身につけてほしい。そうした学びを支える工学部の施設、プログラムは充実しています。教員も非常に教育熱心です。これは前身の福井工業高等学校から続く長年の伝統で、「教職員と学生との距離が最も近い学部」と言われてきました。ですから安心して学んでください。ただし、学生時代は順風満帆とはいかないこともある。絵に描いたような青春時代を送る学生はほんの一部だと思います。悩んで、躓いて、壁にぶつかるのが当たり前と受け止めることも大事です。お願いしたいのは、「自分はこの程度のもの」という考え方をぜひ捨ててほしい。福井大学の学生は成長してくれます。伸びしろもたくさん持っています。私たちは学生の伸びしろを目一杯育てる教育を行いますのでそれに応えてもらいたい。4年間、学んで楽しんで下さい。
学部の改組はこれまで培った実績に基づいており、良さを生かした改編です。在学生の皆さんが頑張ってきたものを改組に結びつけたともいえます。在学生も自信をもって進んで下さい。

寺岡 新入生には、新しい学部で育てる初めての人材として大きな期待を持っています。初めから、主体的、自律的に学んでください、とは申しません。むしろ新しい学部の仕組みのなかで、4年間を通して、しっかりと力を身につけてほしいと思っています。大学や学部側はこれまでの枠を超えて様々な支援をしていきます。ぜひ、積極的にいろんなことに参加し、みなさん自身、自律的で主体的な学びを、自ら作っていただければと思います。教育学部とも協働しながらカリキュラムや教育の長所を生かしながら、在学生も含めた十分な教育ができる仕組みを考えていきたいと思います。

(司会進行: 広報室長 本多 宏)