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平成29年度学位記授与式 学長式辞

福井大学は、本日ここに、海外からの留学生41名を含む総勢1,255名に、学士、修士、博士の、それぞれの学位記を授与し、あわせて18名の学生を表彰しました。めでたく卒業の日を迎えられた皆さんを心から祝福し、皆さんや皆さんのご家族、関係の方々と喜びを分かち合いたいと思います。

卒業生の皆さんは、福井大学での学びを通して、工学、医学、教育地域科学の各分野において、グローバル化の進む社会で活躍できる優れた専門知識、技術、人間力を修得されました。このような素晴らしい力を身につけるにいたった皆さんのこれまでの研鑽と努力に、心より敬意を表します。同時に、人は誰もひとりで成長することは出来ず、皆さんがここまで成長することができたのは、皆さんの家族や友人、大学の教職員など、多くの人の支えや、先人が築き上げた歴史があったからでもあるということを、皆さんに認識して頂きたいと思います。そして、皆さんの優れた才能は、皆さんが利己的な目的のためだけに使って良いものではなく、皆さんが社会に貢献するために授かったものであるということを、自覚してください。皆さんが、大勢の人に支えられ、助けられてここまで来られたことや、優れた才能を授かったことへの感謝の気持ちと誇りを持って、これからの人生において、それぞれの立場から、それぞれが可能な方法で、社会に貢献してくれることを願います。

さて、世界は今、激動の時代を迎えています。第4次産業革命と呼ばれる、情報通信技術、IoT、人工知能、ロボットなどの科学技術革新やビッグデータの活用によって、現在は人が就いている仕事の半数が今後20年以内になくなるとも言われるように、社会に激しい変化が起き始めています。皆さんのこれからの生活も大きな影響を受けるでしょう。
同時に、世界には、シリア難民をはじめとする大量の難民問題、民族対立、貧困、テロ、地球温暖化など、解決すべき難問が山積しています。我が国においても、拡大する経済格差の是正、「働く世代」と「働き終えた世代」の利害の調整など、多くの重要な課題があります。私たちは、知恵と勇気をもってこれらの困難な問題を乗り越え、調和のとれた平和で豊かな未来を創っていかねばならず、皆さんがその中心的役割を担うことになります。

一方で、世界の現状は楽観を許しません。一昨年、イギリスがEU離脱を決定し、また、世界唯一の超大国アメリカで、「アメリカの利益が第一」とするトランプ氏が大統領に選出されるなど、驚愕すべき事態が起きました。このような事態が起きたのは、移民や難民の増加が自分達の生活を苦しくしたと考える人達が増えたことが、ひとつの原因だと言われています。ドイツ、フランス、オランダなどのEUにおける先進国でも、極端な排他主義を掲げる右派政党が勢力を拡大しています。
これまで、グローバル化は社会を豊かにし、人々を幸せにすると考えられてきました。しかし、政治や経済の実情は、残念ながら、全ての人を幸せにできることからは未だほど遠く、グローバル化の恩恵にあずかれない人達が各国で増え、中間層が没落して貧富の差が拡大しました。その結果、世界は今、排他主義、保護主義、ポピュリズムの傾向が強まり、世界中で5,000万人とも8,000万人とも言われる膨大な数の犠牲者を出した第二次世界大戦を教訓に、世界が相互の繁栄と平和のために進めてきた平和協調の流れが変化しようとしています。今後、世界がどうなっていくのかは予断を許しませんが、社会の分断が進み、未来が「争いの時代」になることは受け入れられません。

皆さんは、このような激動の時代に、社会へ巣立って行きます。大学院に進学する人は勿論ですが、皆さん全員に、皆さんの学びはけっしてこれで終わりではないと、伝えたいと思います。人工知能などの科学技術の一層の進歩により、皆さんが就く教師、医師・看護師、エンジニアを含む、社会のほとんどの職業において、必要とされる知識、技術、能力の質が、今後、大きく変わるでしょう。変化を続ける社会、新たな考え方や発想が求められる社会の中で、皆さんが自分の役割を果たし、社会に貢献するためには、これまでの学びだけでは十分とは言えず、卒業したからといって学ぶことを止めてはいけません。中国の戦国時代の思想家荀子は、「学は以て已むべからず。青はこれを藍より取れども藍よりも青し」と述べています。皆さんはこれからも学びを継続して、藍を越える輝く青になってください。
また、人がひとりでは生活していけないのと同様、どの国も一国だけで成り立っていくことはできないということを、忘れないでください。私たちは、自国の論理だけを主張し、他を排除するのではなく、異なる価値観が存在することを受け入れ、異なる考えを持つ世界の人々と共存していかねばなりません。人が人として尊敬されうるのは、他人の行動の意味やその自分との関わりを思い量ることができる、高度な精神性を持つからです。決して他の人を隷属させたり、攻撃したりする力を持つからではありません。皆さんが、多文化理解、多人種共生を可能とする開かれた思想性と、自由、公正、正義の信念をもって、平和で豊かな社会を創るという人類の目標の達成に貢献してくれることを願います。

海外からの留学生の皆さんは、この間、日本および日本人について、長所、短所を含め、様々なことを知り、学び、理解を深めたことと思います。皆さんには、その知識や経験を生かして、是非、福井、そして日本を、皆さんの母国や世界と結びつける役割を担い、世界の平和と発展に貢献してくれるよう願います。

結びに、皆さんの輝かしい門出に際し、皆さんのこれからの人生に幸多かれと祈ります。私ども教職員一同は、福井大学がいつまでも皆さんが誇りに思う大切な母校であり続けられるよう、一丸となって前に進んで行きます。皆さんも、福井大学で学んだこと、福井で過ごしたことを大切にし、誇りとしてください。そして、福井大学の同門の絆を大切に、先輩との連携を深め、また自らも後輩をかわいがる頼もしい先輩になっていってくれることを願って、式辞といたします。

平成30年3月23日
福井大学長 眞弓 光文

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