大学案内

ホーム >  大学案内 >  学長挨拶 >  学長式辞 >  平成30年度入学式 学長式辞

平成30年度入学式 学長式辞

この度、福井大学の4学部および大学院に入学された1,320名の皆さん、入学、誠におめでとうございます。福井大学を代表し、皆さんや皆さんのご家族、関係の方々に、心からお慶びを申し上げ、共に喜びを分かち合いたいと思います。

さて、これまで皆さんが、長年にわたり研鑽を積んでこられたことに対し、心から敬意を表します。一方で、皆さんは、この間、受験勉強に集中するために、それ以外の事柄からすこし目をそらせた生活を送ってきたのではないでしょうか。大学入学を果たした今、皆さんにはもう少し広い目で社会を見て欲しいと思います。
社会は今、情報通信技術、人工知能、ロボットなどの科学技術革新やビッグデータの活用が急速に進み、第4次産業革命と呼ばれる激動の時代に入っています。今後20年もすれば、現在は人が就いている職業のかなりのものを人工知能やロボットが代わって行うようになるとも言われています。皆さんが卒業後になる教師、医師・看護師、エンジニアなどの職種においても、求められる知識、技術、能力が大きく変わると考えられます。
同時に、世界には、大量の難民、拡大する経済格差、テロ活動、温暖化、アフリカにおける爆発的人口増加など、対応すべき難問が山積しています。そんな中、一昨年には、イギリスが国民投票でEU離脱を決定し、また、世界唯一の超大国アメリカで「アメリカの利益が最優先」と広言するトランプ大統領が選出されるなど、驚愕すべき事態が起こりました。イギリスの国民投票でEU離脱賛成派が勝利したのは、他のEU諸国からの移民を含め、移民の増加が自分達の生活を苦しくしたと考える国民が増えたためだと言われています。ドイツ、フランス、オランダなど、他のEU主要国でも、極端な排他主義を掲げる右派政党が勢力を増しています。これまで、グローバル化により世界は豊かになり、人々は幸せになると考えられ、社会のグローバル化は必然と思われてきましたが、各国でその恩恵にあずかれない人が増え、また、中間層が没落して貧富の差が拡大した結果、世界は今、排他主義、保護主義、ポピュリズムが隆盛になり、第二次世界大戦を教訓に、平和的な繁栄を目指してこれまで進めてきた協調路線が変化しようとしています。

我が国に目を向けてみると、これから人口減少が加速し、このまま行けば我が国の人口は今世紀末には現在の半分程度にまで減少すると予測されており、この急激な人口減少が社会に重大な影響を及ぼすことは必至です。少なくとも今後数十年間、医療費や年金などの社会保障費が増加する一方、生産年齢人口の減少による経済力の低下が懸念されます。また、人口減少と首都圏への一極集中の結果、多くの地方自治体が衰退し、国土の不均衡がさらに拡大する危険性があります。

世界や我が国がこのような難問を抱える中、私たちは知恵と勇気をもってこれらの難問を乗り越え、社会の分断を防ぎ、持続可能で平和な社会、調和のとれた豊かな社会を創っていかねばなりません。そして、まさに皆さんが、将来、その中心を担います。皆さんは、そのような役割を担えるようになるために、これからの学生生活でしっかりとした力をつける必要があります。その力について考えてみたいと思います。
世界がこれからも調和の取れた発展を続けていくには、社会が抱える課題や限界を乗り越えるためのイノベーションの創出が必要です。このイノベーションを創出するには、誰もが経験したことのないこれからの社会の様々な課題を明らかにし、それを解決できる力、すなわち、課題解決力を持った人材が必要です。特に、天然資源に乏しい我が国にあっては、人こそが未来を開く唯一の資源であり、社会は、優れた才能の持ち主である皆さんが、大学でその能力をさらに高め、イノベーションの創出に貢献出来る人材へと成長してくれることを期待しています。どうか皆さんは、自分の優れた才能は社会に貢献するために授かったものだということを自覚し、福井大学で真剣に学び、高度な専門知識を身に付け、課題解決力を培って、平和で豊かな社会の創出に向けて、社会を牽引していくことの出来る人材に育ってくれるよう、願います。

同時に、皆さんには、高度な専門知識や課題解決力以外にも、身につけるべきものがあります。皆さんは、これからの学生生活で、書に親しみ、歴史に学び、様々な知識を得て、教養を高めてください。そして、自分の心の中に、何が正義か、どうあるのが公正かを正しく判断できる「規範」を確立してください。この「内なる規範」の確立こそが、研究論文のねつ造や、忖度という名の奇妙な行動が社会を騒がせている昨今、皆さんを様々な不正の誘惑から守る力となるでしょう。
さらに、皆さんは、世界の多様な人と交流して、世界を知り、己を知って、アイデンティティーを確立すると共に、世界に様々な文化や考え方が存在することを理解し、自分と違う人や考えを排斥するのではなく、多文化理解、多民族共生を可能とする開かれた思想性を身につけてください。
この「内なる規範」の確立と、違いを受け入れることの出来る人格の形成により、将来、皆さんが真に公共に貢献できる人に育ってくれることを願います。

今、世界の多様な人と交流して欲しいと申しあげました。世界の人と交流するには、コミュニケーションツールとしての語学力、なかでも世界共通語とも言える英語の力が必要です。福井大学には、英語を母国語とする英語教育専門家による英語の授業、好きな時間に自由に学べる語学自修センター、留学生との交流の場である国際ラウンジなど、充実した語学教育プログラムや学びの場があります。皆さんはこれらを十分に活用して、語学力を高めてください。福井大学では、こうして英語力を高めた学生が毎年250名程度、海外での研修に参加しています。海外での研修は世界を知り、自分を知る良い機会なので、皆さんも是非、後に続いてください。

皆さんが激動する社会で活躍するための力をつける学びが、まさに今から始まります。その学びを通して、皆さんの前途は必ずや洋洋たるものとなるでしょう。しばらくは受験勉強の疲れを癒やし、心にゆとりを持って自分を見つめ直してほしいと思いますが、「少年老い易く学成り難し」と言います。社会に出た後で、学生の時にもっと勉強しておけば良かったと後悔し、勉強しようと思い直しても、社会に出てからでは学生の時ほど勉強時間が取れません。皆さんは、せっかく得た福井大学での勉学の機会をいたずらに浪費することなく、充実した学生生活を送って下さい。

海外からの留学生の皆さんは、慣れない異国での学生生活、期待と共に不安もあるかと思いますが、福井大学で多くを学び、貴重な経験を積み、友人を得るなど、充実した留学生活を送って頂くことを願います。そして、将来、皆さんの故郷や母国と、福井や日本を結びつける役割を果たして欲しいと願います。

結びになりますが、真剣な学びを通して日々成長していく皆さんの姿を見ることは、私たち教職員にとって最大の喜びです。福井大学教職員一同、皆さんの学びと成長を全力で支援することを約束して、式辞といたします。

平成30年4月6日
福井大学 学長 眞弓光文

ページの先頭に戻る
前のページに戻る