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平成30年度学位記授与式 学長式辞

福井大学は、本日ここに、海外からの留学生39名を含む総勢1,281名に、学士、修士、博士の学位記を授与し、あわせて、成績優秀者および業績顕著者として18名を表彰しました。めでたく学位記を授与された皆さんおよび表彰された皆さんを心から祝福し、皆さんや皆さんのご家族、関係の方々と喜びを分かち合いたいと思います。

 皆さんは、福井大学での学びを通して、教育地域科学、工学、医学の各分野において、グローバル化の進む社会で活躍できる優れた専門知識、技術、人間力を修得されました。ここに至るまでの皆さんの努力に心より敬意を表します。同時に、皆さんがここまで来ることができたのは、皆さんの家族、友人、教職員など、多くの人の支えがあったからでもあることを、改めて申し述べたいと思います。大勢の人に支えられ、助けられてここまで来られたことや、優れた才能を授かったことへの感謝の気持ちを持って、皆さんがこれからの人生の中で、それぞれに可能な方法で、社会に貢献してくれることを願います。

 さて、現在、第4次産業革命と呼ばれる、情報通信技術や人工知能などの飛躍的な発展が進行しています。それに伴って社会に大きな変化が起きており、遠からぬ将来、これまでは人が行ってきた仕事の半数を人工知能等が代わって行うようになるとも言われています。皆さんはこの激しい変化の流れの中へ漕ぎ出していきます。その中で皆さんを待ち受ける問題は、これまで誰も経験したことのない問題であり、過去にその答はありません。したがって、そんな時代を生きる皆さんに求められる力は、過去に作られた答を見つけてくる力ではなく、問題を明らかにし、考え、答を出すというプロセスを、主体的にやり遂げる力です。皆さんはこれまで、優れた専門知識や技術、人間力を修得し、同時に、自分で考える力を高めて来ました。しかし、急激に変化する社会で皆さんがその力を十分に発揮できるかという点から見れば、皆さんの力はまだまだ十分とは言えません。その意味から、本日の卒業は、皆さんにとって、まさに新たな学びの始まりと言えます。中国の戦国時代の思想家荀子が、「学は以て已むべからず。青はこれを藍より取れども藍よりも青し」と教えているように、皆さんはこれからも学びを継続し、藍を越える輝く青となって、激しく変化する社会の未来を切り拓いていってほしいと願います。

 さて、明治、大正、昭和、平成と続いてきた中で、初めて我が国が戦争を経験しなかった「平成」の30年が終わろうとしています。次の元号の時代も、戦争のない平和な世であることを強く願います。しかし、ISがまだ存続しているように、貧困や無知が根絶されない限り、それに起因する暴力や憎しみの連鎖はなくなりません。イギリスのEU離脱、トランプ大統領の自国第一主義、また、ドイツ、フランス、オランダなどの先進国での極端な排他主義を掲げる右派政党の台頭など、グローバル化に伴って生じた富の偏在や貧富の格差の拡大などに起因した新たな問題が起きてきています。また、人類が豊かさを求めて行う生産活動は、地球温暖化という重大な環境破壊を引き起こしています。
 皆さんは、これらの問題や第4次産業革命により新たに発生してくる問題が待ち構える社会へと旅立ち、今後、約半世紀にわたり、その社会の中心を担います。そのことに恐れを抱いたり、尻込みしたりする必要はありません。現在の変革を第4次産業革命と呼ぶということは、社会はこれまでに3回の産業革命を経験してきたということです。その都度、人はそれぞれの時代を切り開いてきました。皆さんならきっと出来ます。自信を持って前に進んでください。
 その際、皆さんには、人はひとりでは生きていけないという当たり前のことを改めて思い出し、肝に銘じて欲しいと思います。自分の論理だけを主張し、他を排除するのではなく、異なる価値観を受け入れ、異なる考えを持つ世界の人々と共存してください。人が他の動物より優れているのは、他の人の行動の意味を思い量ることができる高度な精神性にあります。皆さんが、多文化理解、多人種共生を可能とする開かれた思想性と、自由、公正、正義の信念をもって、平和で調和のとれた豊かな社会の創出という、人類の普遍的な目標の達成に向けて進んでいってくれることを願います。

 海外からの留学生の皆さんは、この間、日本や日本人について、長所、短所を含め、様々なことを知り、学び、理解を深めたことと思います。皆さんには、その知識や経験を生かして、是非、福井、そして日本を、皆さんの母国や世界と結びつける役割を担い、世界の平和と発展に貢献してくれることを願います。

 結びに、皆さんの輝かしい門出に際し、皆さんのこれからの人生に幸多かれと祈ります。皆さんが、福井大学で学んだこと、福井で過ごしたことを誇りとして、福井大学の同門の絆を大切にし、先輩との連携を深め、自らも後輩をかわいがる頼もしい先輩になっていってくれることを願って、式辞といたします。

平成31年3月22日
福井大学長  眞弓光文

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