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平成31年度入学式 学長式辞

福井大学において、本日入学式を迎えられた912名の学部入学生及び369名の大学院入学生の皆様に対し、お迎えする側を代表し、心よりお慶びを申し上げます。まずは、本日この日まで皆さんを支え、様々な形でご支援頂いた御両親,御家族,ご指導頂いた先生方等々に対し、感謝し、その気持ちを忘れることなく、勉学に励む大学生活を送って頂きたく思います。また、海外の留学生の皆様には、心より歓迎の意をお示しします。

さて、まずは福井大学の特色をご紹介しましょう。なぜなら福井大学の学生として、自らの学部だけでなく、大学全体について是非認識を共有し、共同体意識をもって頂くことが今の大学のパワー向上のために必要と思うからです。

本学は4つの学部から成り、各々の学部には独自の歴史と伝統があります。
教育学部は、明治6年設立の(敦賀県)師範学科を起源として昭和18年には福井師範学校としてスタートしました。現在では福井県の教員の4割が本学の出身者です。初等中等教育が極めて優れる本県の、まさにその担い手です。最近では教職大学院という、現職の学校教員がより高度の教育を行うための知識,技術を学ぶための大学院で知られ、特にこのための三位一体と言われる教職大学院,教育学部,附属学校園が一体化した体制が高く評価されています。国際的にもエジプト政府より注目され、本学に教師教育の指導についての依頼があり、今後4年間の間に680名のエジプト人教員を研修生として受け入れる予定です。

医学部は、昭和53年福井医科大学として出発し、平成9年に看護学科が創立されました。日本最多の原発立地県にある大学として、医学部でも放射線の平和的医学利用の最先端を目指し、高エネルギー医学研究センターでは、平成15年に21世紀COE(Center of Excellence)プログラムが採択され注目されました。最近では全国的な課題である子どものこころの問題の解決を目指し、子どものこころの発達研究センターが立ち上げられ、分子イメージングの見地から子どものこころを読み解く説得力のある研究成果を輩出しています。

一方、全国に先駆けて少子高齢化が進む本県で地域医療のセーフティーネットを最終的に支えるのが福井大学病院です。本学の救急部・総合診療部が一体となった救急システムは北米ER型救急、ERはEmergency Room、と言われ、この24時間365日どのような患者にも門戸を開く優れた救急体制を大学病院として初めてスタートしました。現在県内医師の1/3は本学の出身者です。
一方、看護学科も救急看護などの優れた実績を背景に、順調に発展しています。

さて、工学部は福井高等工業学校として大正12年創立され、今や日本海側最大の工学部として発展し、福井県のエンジニアや科学研究者の約1/3は本学工学部の出身者です。日本最多の原子力発電所立地県にある大学として、附属国際原子力工学研究所を有し、安全な廃炉研究も含め、最先端の原子力研究を展開しています。また、伝統の繊維産業をより推進した形でさらに発展さすべく、新たに繊維・マテリアル研究センターも立ち上げました。工学部を中心に、福井大学は複数の学部を有する国立大学での就職率11年連続第一位も達成できました。また、工学部を基盤として発展した産学官連携本部では、今や学部の枠を越えた産業界・行政との連携体制が一層充実しています。

この三学部は言わば、高度専門職業人を養成する学部と位置づけられます。それに加え、三年前に設立されたのが国際地域学部です。国際と地域という一見矛盾する名称を敢えて用いるのは、本学部がグローバル化が進行する地域や社会において、地域の創生を担い、グローバル化社会の発展に寄与できる人材を育成することを目指しているからです。まだまだ生まれたてですが、地域からの評価も高く、有り難く感じています。
以上自らの所属する以外の学部について、聞いて頂いたことで、より親近感がわいてきたならば、誠に有り難く思います。

さて、新入生諸君に今後の大学生活に向けたいくつかのメッセージをお送りします。
まず大学では何を学べばいいのでしょうか。実は大学生と、高校生以前では、学ぶ内容、学び方に根本的な違いがあります。大学入学前の勉学は既に確立されている知識,技能等を学び、理解し、自分のものとする過程であり、目の前には必ず正解があったことでしょう。一方、大学における勉学とは、いわば学び方を学ぶことなのです。学問,及びそれを生かす場である社会の進歩は現代においては急速であり、たとえば、それ以前の狩猟,農耕,工業,情報社会につぐ、新たな社会として今、高等教育で強調されているソサエティ5.0に向けた人材育成などにより、生産性革命,人づくり革命を担うことが大学に求められています。今常識であったことは数年後には常識で無くなり、何年か後には今ある職業のかなりは、職業でなくなると言われます。このことは逆に、今諸君が想像もしない職業に将来就いている可能性があることも意味します。このような急激な変化の中では、一つ一つの今存在する確立した知識,技能だけを自分のものとするだけではまずかろうことが想像できると思います。AI(人工知能)のレベルに引けを取らぬためにも、どんな時にも未知のものから真実を抽出し、自らを向上させていくための方法論を学ぶ必要があります。

ここで重要なのは、創造性です。以前「1番でなくて、2番じゃだめですか?」という意味の言葉が注目されたことがあります。少なくとも大学、学問の世界では2番ではだめなのです。何故なら2番手では誰も手掛けていないものに挑戦する創造性に欠けるからです。創造性の重要さを是非実感してほしいと思います。中には私にはそんなことは無理だと思う人もいるでしょう。それでもいいのです。言い換えれば大学生活で交わる優れた先生,友人を通じて創造性を実感するだけでも十分と言えます。

皆さんが大学に入って必ず通る悩ましい関門に共通教育があります。リベラルアーツと言われ、ギリシャ、ローマの頃から学ばれ、当時は天文学、音楽なども入っていました。私が学生の頃は教養部と言われました。教養とは何でしょう? 単に博学であることではありません。教養とは、もっと人格と結びついた積極的なものです。例えば、有名な評論家、劇作家である福田恒存は「日常的でないものにぶつかったとき、即座に応用が効くということ、それが教養というものです」と述べています。教養とは自分の人生にとって案外重要なものだと実感できると思います。教養を学ぶべき時期にはいたずらに専門への道を急ぐことなく、優れた教員の講義を聞き、更に大事なこととして、バイト,部活などの様々な機会を利用して社会を体験し、自分にとっての教養を身に着けてほしいと思います。教養のある人こそ、研究の世界においても、社会人としても継続して人の信頼を得ることが出来る人です。

ところで、今の社会は、グローバル化社会或いはそれにローカルも加えたグローカル社会と言われます。世界との交流は喫緊の課題です。皆さんも出来るだけ諸外国の人と交流してください。カタコトの英語で十分と思います。それが大切なのは、今のように世界の国々の対立が激しく、また移り変わりの激しい国際社会において、もし様々な国で暮らす個々の人達同士に信頼関係が出来ていれば、それは相互理解の大きな力となるからです。国同士や、民族間の対立に拘らず、他国の人との一人一人の人間同士の友情を深め合うことに是非心がけて下さい。

さて、皆さんが、真に一人前の成人となっていく過程で是非身に着けてほしい、もう1つのもの、それはプライドです。本学の皆さんには福井大学生というプライドを是非持ってほしいと思います。何故なら皆さんは一人一人が福井大学を代表して、福井大学というブランドを背負っているからです。
たとえば、皆さんのうちの仮にA君が社会人として、ふさわしくない行為をしたとしましょう。世間の人は福井大学の何学部のA君はけしからん人間だとは思いません。多くの場合、福井大学というのはその程度の学生の行く大学かと思われます。皆さん一人一人が福井大学を背負っているという意味がお分かりいただけると思います。逆も真です。皆さん一人ひとりが、さすが福大生と言われるような行いをしたとすれば、皆さん一人一人ではなく、福井大学の学生は素晴らしいという評価ができます。それを蓄積することによって、福井大学は益々評価を高め、本学は存在感を発揮することが出来ると信じます。

結びに、これから成長し、人間的にも心豊かに前進してゆく諸君との、福井大学での折々の対話の機会を楽しみにしつつ私からの祝辞と致します。

平成31年4月6日
福井大学長 上田孝典

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