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令和2年度新入生への学長メッセージ

学部入学生ならびに大学院入学生の皆様に対し、お迎えする側を代表し、心よりお慶びを申し上げます。

はじめに、令和2年度の入学式が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、止むを得ず中止となったことに対し、お詫び申し上げます。

入学式は、人生の節目となるかけがえのない行事であることから、本学としても、式の規模縮小にて実施を予定しておりましたが、国内外の感染拡大防止、そして、4月からの皆さんの新生活が安心してスタートできるようにと熟慮した結果、中止とさせていただきました。入学生の皆さん及び関係各位は、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

あらためまして、福井大学ならびに大学院に入学された学生のみなさん、おめでとうございます。皆さんの入学を心から歓迎するとともに、これまで皆さんを支えてこられたご家族の方々に、心よりお慶びを申し上げます。

さて、福井大学は、健康長寿、幸福度日本一、子どもの高学力、最多の原子力発電所立地、オンリーワン技術を持つ企業の集積などの特徴を持つこの地域に立脚する唯一の国立大学であり、グローバル化社会で活躍できる教師、医師・看護師、エンジニアなどの高度専門職業人や地域創生を担う人材を育成し、地域に貢献する大学として、その必要性は益々高まっています。
一方で、少子化や国による大学予算の削減等の難局を乗り切るためには、教職員、学生が一致しての全学的な共感性を持った危機感の共有と対応が必要であると考え、昨年、全学の理念を策定しました。
それは、「格致によりて、人と社会の未来を拓く」です。キーワードは「格致」です。この語は、中国の古典「大学」にある語で、幕末の高名な福井藩主松平春嶽公揮毫の額が、本学に保管されており、格致の意は、「物事の道理や本質を深く追求し理解して、知識や学問を深めうること」です。この語から始まる理念全文の意味は、「格致を旨とし、県内はもとより、世界の国々の様々な地域において、そこに集う人々並びに社会の未来を拓くことに主体的にかかわり貢献すること」です。同じ主旨で四学部、附属病院、附属学園の理念も、各学部構成員の意見を踏まえ策定しました。それは、教育学部「新しい時代に生きる子どもたちの未来をひらく教師をめざして」、医学部「愛と医術で人と社会を健やかに 」、工学部「夢を形にする技術者、IMAGINEERをめざして」、国際地域学部「未来志向で、地域に織り込む世界へのまなざし」、附属病院「最新・最適な医療を安心と信頼の下で」、附属学園「夢をもち未来を生きる子の育成」です。
是非心のどこかに留めて置いてください。

ところで、皆さんも、たとえ周囲に感染者がいなくとも、社会の一員として、新型コロナウイルス感染症により大変な思いをされていると思います。科学技術の進んだ世の中にあるが故に現代医学の限界を感じられたかもしれません。しかし、考えてみると、より予後の悪いウイルス感染症である天然痘は、紀元前350年に歴史上に記載が確認された後、ジェンナーが実施した牛痘接種による予防まで、約2千年を要しました。一方COVID-19は、昨年12月に中国で報告され、1ヶ月程度で病原体がコロナウイルスであると確認され、更に1月12日の全遺伝子配列同定までわずか2ヶ月程度と極めて迅速であることは大きな進歩であり、それを可能とする現代の科学に対する信頼も持ち続けてください。

さて、皆さんに新入学生として今後抱き続けて欲しいものが2つあります。ノーベル賞受賞者もよく口にされる言葉ですが、1つは「知的好奇心」です。何故、何故、何故、この疑問をこれから、専門領域のみならず、人生において自らの関わる様々な事柄について、持ちつづけて欲しいと思います。もし、疑問を持つ必要はない、それは常識だから、という人が有れば、2つ目に申し上げたいことは、常識を信じすぎるなと言うことです。決して常識を否定するものではありませんが、世界の学問、社会の進歩は、今ある常識をいわば一里塚として、通過してゆくことで実現したということを理解して下さい。進歩のためには時としてそれを超えることが大切です。

ところで、皆さんは、入学後、そのまま専門領域を学ぶのではなく、共通教育と言われる学びを体験します。折角大学に入ったからには、専門科目へ早くと言う希望も多いとお聞きするみなさんには、じれったく感じる時間かもしれません。

しかし、共通教育は元来古代ギリシャで行われ、オリンピックと同じ位の伝統があるリベラルアーツと言われる教育に相通じています。無論歴史の長さは問題でなく、寧ろ現在の社会においてもこれと関係深い事柄があり、それはSociety 5.0への対応です。現在の社会では仮想即ちサイバー空間と現実即ちフィジカル空間を融合した新しい創造社会Society 5.0が目前に近づいていると言われます。その社会では新しい価値の創造やSDGsの達成などの進歩の一方で、不安材料として、現存する多くの職業が姿を消し、或いは変貌するといわれます。本学は教育の第一目標として高度専門職業人育成を掲げていますが、この来るべき社会ではいわば一芸のみに秀でた匠を育成する以上の心構え・対応が学生・教員お互いに必要です。例えばこの度の工学系研究科の改組で示したジェネラリスト、スペシャリスト両側面を相そなえた実力の養成が皆さんには求められるでしょう。そして、専門領域でのそのような実践の前段階として、重要なのは、先述したリベラルアーツ的な内容です。米国イェール大学元総長のグリズウォルドは、リベラルアーツの目的を「学生を単に知的な追求ではなく、人生のための準備をほどこすこと」と述べています。この領域は、今日本で次第に重視され、しかしモデルケースは少ない状況にあり、実体化には時間と予算を要しますが、課題として強く意識したいと思います。共通教育に加え、部活、バイト、ボランティアなどの体験も総動員して人生のための準備を心がけて下さい。

さて、今年も、アジアのみならず、世界各国から留学生諸君に入学いただき、誠に嬉しく、また心より歓迎いたします。みなさんは、本日、福井大学に入学して頂いたからには、日本人学生と等しく我が福井大学生であり、卒業後もずっと本学のメンバーでありつづけることをお約束します。我々のグローバル化の歴史はまだ浅く、留学生の方とも協力しあって更なる国際化を推進したいと思っています。どうか楽しく、充実した福井での生活を送って下さい。

今まで様々なことを述べましたが、結びにこれからの学生生活の貴重な限られた時間の中で、人として、高度専門職業人としての、実のあるプライドが備わった福大生に成長してゆく皆さんを拝見できることを心より期待して、私からの祝辞と致します。

令和2年4月6日
福井大学長  上田 孝典

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