大学案内Viewbook2019
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医師の指導のもと学生が診察を行い緊張感のある実習を通して成長していきます。School of Medical Sciences 医学部27UNIVERSITY OF FUKUI井階 友貴 教授高浜町国民健康保険和田診療所内医学科 地域プライマリケア講座橋口 智香 さん看護学科 3年次福井県立金津高等学校出身大島 慎太郎 さん医学科 5年次兵庫県立神戸高等学校出身病気を診る、人を診るその人のバックグラウンドを診る福井県西端の高浜町。夏には海水浴客で賑わう美しい若狭和田ビーチの近くに、高浜町国民健康保険和田診療所はあります。地域に医療を提供するだけでなく、福井大学医学部の実習協力施設として、多くの医学生、看護学生を受け入れています。スタッフ・設備とも充実した附属病院があるのに、なぜ小さな診療所で実習を行うのでしょうか。「ものの見方の倍率が違うんです」と語るのは、和田診療所に医学部の分室を構えて地域医療の実践と研究を進める井階友貴教授。「身体の調子が悪くて医療機関にかかると、診察して、検査して、どこどこの臓器が悪いですよ、と。なぜその臓器が悪くなっているか調べて、たとえばウイルスが悪さをしています、とか、細胞のこういうところが悪いですね、という具合に、どんどんミクロの方に向かっていく。現代の医学は、そういう風に発展してきたわけです。ところが、地域医療の現場では、それだけではやっていけない。患者さんや、家族にどういう背景があって、病によってどういう体験をしているのか。いわば広角レンズで生活全体を診る視点が必要になってくるんです」地域医療は広角レンズ医療者としての“人間力”が問われる現場だけに、実習に来ている学生たちは、さぞや厳しく鍛えられているに違いない…と思って、毎日の終わりに行われている“振り返りの時間”をのぞいてみたら、そこは思いのほか和気藹々とした雰囲気でした。「地域医療っていうのは、診療所の医師がなんでも一人でやらなければならなくて大変、というイメージがあったんですが、現場は、医師だけでなく看護師や介護士、ケアマネージャーなど、多職種の方が連携して一人の患者さんをケアするフラットなチームだと思いました。僕も、見習いではありますが、そのチームの一員として扱ってもらえてるんだな、って」と語るのは、医学科の大島慎太郎さん。看護学科の橋口智香さんは、「病気のことは、やはり医師がいちばんわかっているけど、看護師は患者さんと一緒にいる時間が長いし、患者さんも話しやすいということもありますよね。地域医療では、患者さんのバックグラウンドを理解することがとても大事で、看護師にできることは、私が想像していたよりもたくさんあると思いました」と、大切な気づきを得たようです。彼らがどのような医師、看護師を目指していくのかはまだ未知数ですが、ここで地域医療の現場を経験したことは、これからの長い医療者としての人生に、ある“深み”をもたらしてくれるに違いありません。チームの一員としてInterviewMovie!Filesize : 60MB

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