大学案内Viewbook2019
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「チームワーク」と「共感力」教科書には載っていない研修での気付き石田 侑希也 さん医学科 5年次滋賀県立彦根東高等学校出身STUDENT’S VOICE研究と臨床、医学の両輪を学び地道な努力を大切にできる医師に五井 孝憲 教授専門分野:消化器外科学PROFESSOR’S VOICE31UNIVERSITY OF FUKUISchool of Medical Sciences 医学部実家が病院ではありませんし、「医者になりたい」と思ったきっかけのようなものは特に記憶にないのですが、幼い頃から心に決めていて、小学校の文集にもそう書いたほどです。高校生になって医学部受験を具体的に考え始め、浪人の末、福井大学に合格しました。大学では時期によっては1~2週間に1回のペースで試験があり、入学後も勉強の日々が続きました。そして5年生になると病院での実習へ。教科書で学んだことを実践しながら、現場の先生方から直接指導を受けています。そこで気付いたのは、医師は1人ではないということ。診断を出すときには、いろいろな検査結果を見て、他の医師からも意見を聞きます。ドラマのように、簡単に結論は出ません。医師たちが協力し合って、懸命に試行錯誤している姿を目の当たりにして、医療とはチームで行うものだと実感しました。また、患者さんと関わるようになって、「共感」の重要性も感じています。実習が始まるまでは、「医者目線」で物事を考えがちだったのですが、医師と患者、両方の立場で考えることが必要であることがわかってきました。患者さんの話をよく聞いて、医師として説明する。そうしないと、私の言うことに共感してはもらえません。これは経験を重ねるなかで、身につけたいと思います。受験に失敗したことは辛い体験でしたが、「医者になりたい」と思い続けたのだからと、頑張りました。そして今があります。医学部を目指すのなら、とにかく諦めないでほしいです。基本的な外科手技から難易度の高い手術技術の早期の習得に加えて、基礎研究と臨床との橋渡しをする「医科学研究研修」にも力を入れています。医学科では6年間、国家試験に向けての勉強が続きます。学生たちにできるだけ早く臨床に触れる機会をと、3年次で臨床の教室に所属する形を取っています。早いうちから現場を経験することで、自分のやるべきこと、やりたいことが見つけられますし、研究と臨床、その両方をやらなければ、医学は進歩しないということを肌で感じてもらえると思います。医師に必要な技術はたくさんあります。しかもその一つひとつが、以前よりも“深く”なり、常に研鑽が必要です。そのため、最新のシミュレーターが揃い医療技術を習得できる「メディカルシミュレーションセンター」を併設しています。学生たちはこのセンターで、セミナーや技術研修に参加し、希望すれば24時間好きな時間にトレーニングができます。一生懸命取り組めば、在学中に多くの技術を身につけることができるのです。私は「日々の積み重ねが患者さんの幸せにつながる」と、学生たちに話しています。例えば、患者さんに接して気が付いたことをメモに取り、後で見直して翌日に生かす。そういった小さなことが、新しい治療法の発見や患者さんの気持ちがわかる人間味のある真の医師への成長に繋がります。医療技術が進歩しても、治らない患者さんに出会うこともあります。その時きっと、研究の必要性を感じるでしょう。そういった意味でも、研究ができ、患者さんを診ることもできる環境に身を置くことが有意義だと思います。
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