大学案内Viewbook2019
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シリコンカーバイドという物質があります。シリコンと炭素で構成される化合物半導体材料で、スイッチング電源やインバータなどのパワーデバイスへの利用が進んでいますが、佐藤さんが所属する研究室では、これで超高効率の太陽電池セルを作ることを考えています。佐藤さんは、その中でもシミュレーションによって、シリコンカーバイドの結晶構造の中の原子の振る舞いを解明する研究に取り組んでいます。「シリコンカーバイドは、きれいな結晶を作るのが難しいんです。格子構造のどこか一部に欠陥があると、全体がとても不規則な振動を起こす。そこで、コンピュータの中に仮想の結晶構造を作って、そこから炭素原子やシリコン原子を1個抜いたらどうなるか、そこに力を加えたときにどんな揺れ方をするのか、という計算をするわけです」複雑な動きをするものに対して有効な計算方法を考え、プログラムを作る。それが佐藤さんの研究です。コンピュータを相手に格闘する地道な作業ですが、世界水準の課題に挑戦しているという自覚はあるといいます。原子レベルの複雑な挙動を解き明かす佐藤さんが「世界」を意識するようになったのは、学部2年生の春、アメリカのポートランド州立大学に留学したことがきっかけでした。「向こうでは、課題に対して自分がどう取り組んできたのか、どういう知見を得たのか、発表する機会がとても多いんです。というか、自分からどんどん発表していかないと、一歩も前に進めない。大学で勉強するって、こういうことなんだな、と目が覚めるような思いでした」研究室でも、教授から「それで、君はどう考える?」と問われるとのこと。教えられたことをそのまま貯め込んでいくのではなく、自分なりに考えて、その次の段階に進んでいくことが求められます。その時に、いつも頭の中にあるのは、自分の考えが世界でどのような位置を占めうるのか、ということ。「これから先、あらゆる分野の仕事を機械が代替していくようになるといわれています。そんなときにも、未来をイメージして創造していくことは、人間にしかできない。そういう人間に、自分自身を鍛えていきたいと思います」自分の考えは世界の中で今、どれくらいかSchool of Engineering 工学部GPSCO2の削減スマートグラス人工衛星橋(構造)風力発電ニュートリノ佐藤 祐大 さん大学院工学研究科博士前期課程電気電子工学専攻 1年京都府立洛西高等学校出身InterviewMovie!Filesize : 60MBAI(人工知能)ヒューマノイド・ウェアラブルロボット物質・生命化学科安全・安心で持続可能な社会の創造に貢献する実践的化学系技術者繊維・機能性材料工学コース物質化学コースバイオ・応用医工学コース応用物理学科物理の世界を探求し、次世代の技術発展へとつなげる技術者自然科学の基礎を学び、工学への応用を考えます。物理学を中心に広範な自然科学分野を扱います。41UNIVERSITY OF FUKUIスマートフォン原子力発電「世界水準」に挑む自負と自覚

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