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43UNIVERSITY OF FUKUI世の中の「摩擦」を解消するトライボロジーの研究坪田 雅大 さん大学院工学研究科 博士前期課程 機械工学専攻 1年福井県立羽水高等学校出身STUDENT’S VOICE伝統的な「切り紙」遊びと最先端素材の不思議な関係雷 霄雯 講師専門分野:ナノ機能材料設計・計算材料力学「切り紙」遊びをご存じですか。紙にいくつかの切り込みを入れてさまざまな形を作り出す、日本の伝統的工芸です。英語でも、そのままKirigamiといいます。私の研究室では、これにヒントを得て、最先端の素材、とりわけ今注目を集めている炭素素材のグラフェンシートのナノ構造設計に挑戦しています。グラフェンシートは、炭素原子の結合からなる蜂の巣のような六角形の格子構造をもつナノ炭素材料のひとつで、現在知られている素材の中で最も薄くて強い物質です。電気や熱の伝導率も非常に大きく、ナノ炭素材料を基にした材料は自動車や航空機などへの応用が期待されるなど、世界中の研究者がその可能性を模索しています。私は切り紙や折り紙の発想を、2次元のグラフェンシートから3次元構造への創成技術に応用すれば、強度と柔軟性・新機能を兼ね備えた構造を実現できると考え、力学理論解析とさまざまなコンピュータシミュレーションを行っています。日本の伝統工芸が先端技術に結びついて、まだ誰も見たことのない世界を実現する。 とてもわくわくするプロジェクトです。PROFESSOR’S VOICE「ただし、ここでは摩擦はないものとする」というようなフレーズ、物理の問題ではよく出てきますよね。でも、実際には物体と物体が接触していれば、必ず摩擦は発生しますし、その結果、物体の摩耗も起きます。この摩擦・摩耗を研究する分野をトライボロジーといいます。私は自動車が好きで、エンジンのピストンや軸受けの摩擦・摩耗を最小限にすることで、エンジンの燃焼効率を高めたいと考えてきました。研究では、面圧や速度、接触形態などのパラメータを自由に設定できる摩擦・摩耗試験機(これをラボ・モデルといいます)を製作し、摩耗面を観察します。工学部に入学して以来、機械設計・製作の勉強を積んできたので、現在は、そのラボ・モデルを設計し、自作している段階です。装置はもうすぐ完成し、いよいよ実験を開始。前期課程修了までには、一定の結果を出したいと思っています。修了後は、自動車関連の企業で研究成果を生かした高効率エンジンの開発に携わることができれば、と考えています。ナノ機能設計学 研究室WELCOMETO MYLABORATORYSchool of Engineering 工学部ライ  ショウ ブン

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