大学案内Viewbook2019
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安全のために、人を動かすプレゼンテーションの技術STUDENT’S VOICE社会の土台を守る非破壊検査の研究土木工学のことを「CIVIL ENGINEERING(シビルエンジニアリング:英語)」といいます。市民生活を支える工学、という含意があります。道路や橋、ダム、トンネルなどの建造物は、まさに社会の土台を支えるものです。その安全性を担保するのが非破壊検査の技術です。私の研究室は、その中でも超音波探傷試験について研究を深めています。人間が作ったものは、いつかは老朽化していきます。とりわけ日本では、社会インフラの多くが高度経済成長期に建造されており、建設後50年を超えるインフラが飛躍的に増大しています。超音波探傷技術は、コンクリートの表面から超音波パルスを伝播させ、その反射波の発生源を特定することで、内部に生じた空洞や割れなどを検出します。当研究室では、空洞から得られる反射波を抽出するための特殊な信号処理方法を開発し、さらに高精度な探傷技術を追究しています。もちろん、その前提として建造物の構造や損傷の発生メカニズムを熟知していることが必要で、理論的なアプローチと実験を積み重ねながら、研究を進めています。PROFESSOR’S VOICE超音波探傷検査は、コンクリートの内部の様子を超音波パルスの反射波形で表すものです。波形の不連続なところに「なにか」があるわけです。その「なにか」は、必ずしも傷や欠陥とは限りません。コンクリートにもともと含まれている骨材や正常な打ち継ぎ面も、波形の不連続として現れます。その散乱要素を見分けるためにフィルターにかけて、受信波形を識別する仕組みが必要です。研究室の先輩がそのプログラムを作られたのですが、私は、それを自分なりにアレンジして検査対象にすることに取り組んでいます。卒業後は大学院に進学して、その研究をさらに深めていくとともに、得られたデータを、より多くの人が見て分かる画像に加工することにも挑戦しようと思っています。専門家なら生のデータを見ただけで判断できるかもしれませんが、社会インフラの整備は多くの人の理解を得ながら進めていくものです。そのためには、画像化によるプレゼンテーションが大きな力になるのでは、と考えています。47UNIVERSITY OF FUKUI建設構造 研究室WELCOMETO MYLABORATORYSchool of Engineering 工学部畑 千晴 さん建築建設工学科(現:建築・都市環境工学科) 4年次静岡県立藤枝東高等学校出身鈴木 啓悟 講師専門分野:橋梁工学、非破壊検査、構造物健全度モニタリング
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