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漢訳聖書から言語の違いを読み取る

国際地域学部 准教授(中国語学)

永井 崇弘 先生

文語と口語の使い分けの基準は?

私の専門分野は「中国語学」で、主に19世紀以降の語彙の変遷について、漢訳聖書などを用いて研究しています。聖書を扱うため、キリスト教や聖書自体の研究も必要となります。

中国語の言語体には、大きく分けると書き言葉の「文言(文語)」と、話し言葉の「白話(口語)」の二種類があります。例えば、「話す」を文語では「曰(yuē)」と表しますが、口語では「説(shuō)」と異なる言葉で表現します。中国語を母語として話す人は感覚で判断し、使い分けているようですが、基準は明確にされていません。それをはっきりさせ、口語体を入力したら文語体になる変換プログラムを作ったら面白いのではと考えたのが、研究の原点です。

まずは、それぞれの言語体を明らかにする必要があり、中国語に翻訳された「旧約」「新約」の「漢訳聖書」を研究資料に選びました。「漢訳聖書」には、一般的に文言に相当する「文理」や白話系の「官話」、その中間体と言える「文理」をわかりやすくした「浅文理」といった翻訳言語が冒頭に明記してあります。聖書は古くから多くの翻訳がなされており、資料が豊富で、かつ、ほぼ一致して章や節が割り振られており、比較が容易です。

地道な確認作業を積み重ねる

研究で扱う漢訳聖書や英華字典漢訳聖書を調べる際には、節ごとに文章を比較し、助詞などの文法的機能を中心に、違いを確認していきます。また、版を重ねると訳が部分的に修正されるため、必要に応じて翻訳元となる聖書の原文も確認します。原文は新約聖書がギリシア語、旧約聖書はヘブライ語(一部アラム語※)で記されていますが、漢訳聖書はラテン語訳や英語訳も参照しているため、多様な言語を読み解く必要があります。

19世紀頃の中国の言語を集積した情報は少なく、100〜150年前に宣教師によって書かれた聖書や文献を手作業で確認する必要があります。けれども、新たな事実が判明した時のスッキリ感は何より嬉しく、楽しいことです。文献には先人の書き込みもあり、どんな性格の人が手にしていたかがわかります。ページをめくるにつれ、書き込みが減る聖書もあり、学びの継続の難しさは今も昔も同じだなとしみじみ感じます。

今後は、変換プログラムの構築を進めつつ、宣教師が中国で刊行したキリスト教文献や教科書、英・中対訳の英華字典を研究し、宣教師の中国における活動をまとめたいと考えています。

※ 紀元前1000年頃から西アジアで広く使われた共通語のような言語。

異文化を学び、視野を広げる

協定校のある蘇州の風景私自身、中国に留学することで、書物では学べない現地の様子や人々の考え方を知ることができました。学生のみなさんも勇気をもって一歩を踏み出し、日本を飛び出して異文化に触れ、人々や生活を目にし、また自分自身をも顧みて、視野を広げて欲しい。このような人に道は必ず開かれます。聖書は言っています。「わたしは荒野に道を設け、さばくに川を流れさせる」(イザヤ書43章19節、口語訳)

今ハマっていること★

古書や骨董品の収集をすることです。お気に入りは骨董屋さんの屋台で手に入れた活字(金属製の字型)です。

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