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ジャポニスムをめぐる フランス陶磁研究

国際地域学部 准教授(陶磁史、日仏文化交流史)

今井 祐子先生

ジャポニスムのもう一つのヒストリー

19世紀後半、パリ万博への出品などをきっかけに日本美術が注目され、浮世絵が印象派絵画に影響を与えるなど、いわゆるジャポニスム(日本趣味、仏:Japonisme)という文化現象が西洋諸国に広まりました。
ジャポニスムを研究する中で、私が着目したのは、明治政府の官吏であった蜷川式胤(にながわ のりたね)の日本陶器研究と西洋に与えた影響です。主に文化行政において重要な役割を果たした蜷川ですが、その陶器研究はこれまで十分に語られてきませんでした。
官職を辞した後の蜷川は古美術研究に専念し、日本のやきもの、特に陶器を幅広く集めて分類し、その研究成果をまとめた『観古図説 陶器之部』(1876 ー1879、全7巻)をパリやロンドンの博物館などに送りました。この本で紹介されたのは、当時のヨーロッパ人の嗜好を意識した華美なやきものではなく、茶道具として使われた簡素なやきものや普段使いのやきものでしたが、この本を目にしたフランスの作陶家や芸術家は、やきもの特有の土の味わいや釉薬の色と流れに注目しました。
19世紀末のヨーロッパで流行した「アールヌーヴォー陶磁器」の中には、窯の炎が生んだ偶然の表現を特徴とする作品があり、その創作者は蜷川の本で紹介された日本陶器からも多くを学んでいました。私は蜷川の本に注目することで、陶芸のジャポニスムのもう一つの流れを浮かび上がらせることができました。

フランスの名窯「セーヴル」

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フランス陶磁を研究する上で無視することができないのは、セーヴル磁器製作所です。
19世紀後半はジャポニスムの時代ですが、セーヴルが関心を寄せていたのは中国磁器です。中でも、清朝磁器に見られる鮮明な色の釉薬や絵具に魅せられたセーヴルは、多くの実験を繰り返し、鮮明色の釉薬や絵具と調和する「新硬質磁器」を開発しました。これは19世紀のセーヴルにおける最大の技術開発です。
セーヴルが中国磁器を手本にしていたのは確かですが、外見だけではわからないことが多いのが陶磁器です。そこで私は、2018年4月から1年間、セーヴル陶磁都市の学芸員や技術者の協力を得て、自然科学的な分析・解析手法を加味して釉薬や絵具の色とその原料を調べ、技術の面からジャポニスムの時代におけるセーヴルの中国趣味について考察する予定です。セーヴル磁器を本格的に調査した日本人研究者は今までに一人もいません。日仏間の陶磁研究をめぐる交流に寄与できればと思っています。
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fp32_13p-4今ハマっていること★

今というか以前から、フィギュアスケートにハマっています。このスポーツは、技術点と芸術点の双方が必要とされるという点で、どこか陶芸と似ています。内外のさまざまな選手の演技を見て、癒されたりパワーをもらったりしています。

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