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「心がつらい方の味方になりたい」最もフェアな検証を目指して

医学部 教授(精神医学)

小坂 浩隆先生

患者さんに寄り添うとみえてくるもの

精神科医になって8年目の2005年。薬物療法が効果を示さない統合失調症やうつ病の方々に“なにか違うな”と感じていた頃、大人になって気づかれる「自閉スペクトラム症(ASD)」があることを学会で知りました。ASDは他者と視線が合わない、共感が乏しいなど、社会的コミュニケーションが困難な発達障害です。これまで、治療が効かず苦しんでいる患者さんにASDの傾向に沿って診ていくと、多くの方に強い傾向がみられ、これまでの「難治性統合失調症」や「治療抵抗性うつ病」を「ASD」と診断を変更していったのです。

人口比率で病が決まる?!

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ASDの特徴とされる「共感性に乏しい」を検証しようと、ASDの方と発達障害がない方(TD)に物語を読んでもらい、共感時の脳活動をfMRI※を用いて計測しました。一般的な物語を読んでもらうとASDの方には共感を示す脳活動がみられませんでした。しかし、私はこの結果が全てなのか、フェアな検証であるのか疑問に思い、主人公がASDの物語を読むとどうなるか検証しました。すると、ASDの方は共感する脳活動が見られ、全く反対の結果になりました。診断基準などで、ASDの人は共感が乏しいといわれていますが、それはTDの気持ちが分からないだけ、同じASDの人たちの気持ちは十分理解しているのです。例えば、血液型で多数派のA型、B型、O型の人は共感できる、10%しかいないAB型を変人扱いするのはおかしいですよね。これと同じで、考え方や性格傾向が1%の中に入るか99%に入るかぐらいの違いであって、1%同士、99%同士の中ではお互いに分かっている。人口の比率が高いから健康、比率が低いから病とされている。このような研究成果を発表し、患者さんから「自分の心の弱さが問題ではなかったとわかって嬉しい」と言ってもらえることが何より嬉しかったです。
「心がつらい方の味方になりたい」と志した精神科医への道。これからもASDの方々が生きやすいよう、社会性だけではなく、感覚の問題の苦しみにも力を注いでいきます。
※fMRI(機能的磁気共鳴画像法):MRI装置内で様々な認知課題を行い、その課題処理に関連して活動する脳領域を特定する手法

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