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英文学の父「チョーサー」に魅せられて

教育学部 准教授(英文学〈中世英文学〉)

Dylan Jones先生

過去が見える文学

私は英国の西に位置するウェールズの出身ですが、高校生のころ、父親の転勤でロンドンに移り住みました。そこでジェフリー・チョーサーという14世紀のイギリス詩人の作品に出会い、英文学のおもしろさに引き込まれました。チョーサー文学の特徴は、ラテン語やフランス語の文学と文化を融合させるなど、異なった要素を混ぜ合わせるという点にあります。なかでも、私は「パロディ」という手法に興味を持ち、チョーサーの作品を通して英語の成り立ちや時代背景、文化を読み取る研究をしています。
代表作の『カンタベリー物語』は、礼拝中に暗殺されたトマス・ア・ベケット大司教の廟へ巡礼に出た商人、貴族、平民など多種身分の巡礼者約30 名とチョーサーが、誰の話が面白いかを競い合い、順にそれぞれのストーリーを語る「Frame story(枠物語)」です。
執筆された14世紀ごろは、フランスとイギリスが百年戦争をしていたころ。そのせいか、チョーサーの作品にはその当時の方言が使用されています。例えば「I am old」は、物語の中では「Ik am oold(イクアムウールド)」と方言で記されています。また、「same」「name」といった韻を踏んだ言葉が多く使われています。中世英語では、“サーマ” “ナーマ” と、現在の英語と発音が異なりますが、当時も今も言葉のリズムを楽しむことができます。チョーサーは英国のアイデンティティやプライドを保つために方言そのままを文学に取り入れたのです。

偉大な作家もみんなチョーサーが好き

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ルネサンス期の偉大な劇作家シェイクスピアもチョーサーの影響を大いに受け、ダイナミックな作品を多く残しています。それゆえにチョーサーは“イギリス文学の父” と評されます。
世界的大ヒット映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作者J・R・R・トールキンはオックスフォード大学で、チョーサーの作品の方言を研究したんですよ。
チョーサーの作品は後世、世界中で翻訳されて親しまれていますが、時としてその国の政治や文化に合わせてストーリーが改変されています。それをオリジナルと見比べて、考察することでその国特有の文化や時代の変遷や言語の特徴が見えてくると考えています。
みなさんもそれぞれの国が交錯する文化や習慣をポジティブに紐解いていくと、チョーサーやシェイクスピアのようにダイナミックな発想ができるかもしれませんよ。
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