受験生のためのFUKUDAI LIFE

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ベッドの上の患者さんに 心地よい暮らしを届ける

医学部 教授(成人・老年看護学)

四谷 淳子先生

看護の持つ力

私が看護師として勤務していた頃、“床ずれは看護の恥” と言われていました。床ずれは、寝返りの困難な患者さんらに多く見られる皮膚損傷です。医学用語では「褥瘡」と言います。患者さんの体位によって負担がかかるところの皮膚組織の血流が滞り、水ぶくれや化膿がさらに悪化した症状です。
ある日、在宅療養中に直径15㎝もの褥瘡を腰に患った患者さんを担当することになりました。患者さんの体位を変えてみたり、ガーゼを頻繁に交換したり、やってみるのですが回復の兆しが見えないのです。そこで、看護の基本に立ち返り、マットレスの硬さや創の洗浄方法、さらにはスキンケアなど、一つひとつを見直してみると、みるみる快方に向かい、車いすで元気に動けるまで回復されました。私たちでは治せないと思っていたものが、看護ケアの基本的な技術を生かすことで治すことができた「看護の力」を実感しました。

科学的に看護ケアを見直す

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褥瘡に苦しむ高齢者を目にするうちに、なんとか治したいという気持ちが強くなり、創傷専門の研究室でマットレス(体圧分散寝具)をテーマに研究を始めました。褥瘡ケアで使用するマットレスは、凹凸に沿って身体を沈ませて接触面積を広げ、体圧を分散させます。マットレスに敷くシーツに着目し、シーツと体の接触圧を計ると、ピンと張ったシーツはゆるく敷いた時に比べて1.8 倍も高くなることが分かりました。そのため、体圧分散マットレスの場合は、少しシワがあるくらいゆったりと敷く方がマットの機能を活かせることに気づきました。この研究を活かし、体圧分散マットレス専用の伸縮性のあるシーツを企業と共同開発中です。さらに、一人ひとりの患者さんのデータを機械学習させたAIを用い、より個人の体位変換に合わせた次世代の自動マットレスを実現できるのではないかと考えています。
研究テーマは、常に看護の現場から見えてきます。患者さんに起きている現象を科学的に解明し、看護ケアに活かすことを考えています。寝たきりの療養生活をおくる人は、寝る、食べる、排泄する、ベッドの上がすべての生活の場。そんな患者さんに「雲の上で寝ているようなベッド」を届けたいのです。
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