受験生のためのFUKUDAI LIFE

ホーム >  受験生のためのFUKUDAI >   >  産婦人科医の視点から新生児を治療する

産婦人科医の視点から新生児を治療する

西島浩二先生

医学部器官制御医学講座
産科婦人科学領域
西島 浩二 先生

医学部器官制御医学講座 産科婦人科学領域

西島 浩二 先生

研究について

周産期における母体および胎児の管理が専門です。医員時代に、岡山県の倉敷中央病院小児科で半年間研修したことがきっかけで、早産で産まれた超低 出生体重児の研究も行っています。新生児医療の進歩により、超低出生体重児の多くが生存可能な時代になってきました。しかし、消化管機能の腸管の未熟性に起因する壊死性腸炎は50%以上の高い死亡率を示すことが知られています。この壊死性腸炎の予防には、母乳やプロバイオティクス(乳酸菌)を用いる研究等が進められていますが、その有効性に関していまだ統一した見解が得られていません。そこで、産婦人科医の視点から胎児の胎内環境に着目し、新生児にとってより自然で身近なものを用いて予後の改善に繋げられないか研究しています。

胎脂はなぜ、羊水中ではがれおちるのか?

早産児(左)は出生時に胎脂が付着(右は成熟期に達した新生児)

早産児(左)は出生時に胎脂が付着(右は成熟期に達した新生児)

早産で産まれてきた超低出生体重児には身体全体に胎脂が付着している一方で、妊娠後期では、羊水に急激な濁りを生じ、成熟期に達した胎児の胎脂は胎内で剥がれ落ちてしまいます。出生時に保護フィルムとして働くといわれている胎脂が妊娠後期に剥がれ落ちてしまうという事実に着目し、従来呼吸を円滑にする働きを持つ肺サーファクタントと呼ばれる物質が、羊水中で胎脂を取り囲んで「ミセル」と呼ばれる分子集合体を形成し、羊水中に分散するため、羊水が濁りを生じることを明らかにしました。

ミセルは、母乳が腸管から吸収される際に作られることがわかっており、胎児が胎内で嚥下する羊水と、新生児が摂取する母乳の両方に存在するという共通点から、ミ セルが腸内環境を整える働きを持つのではないかと考えました。肺サーファクタントと胎脂の複合体(サーファクテンミセル)をウサギの羊水腔内に投与する動物実験を行 うと、ミセルが小腸に到達し、未熟胎仔の腸機能を正常化させる効果が見られました。次いで、肺サーファクタントと胎脂にはラット新生仔の壊死性腸炎に対する予防効果 があることを明らかにしました。(この研究成果は、今年4月の「日本産科婦人科学会」周産期医学部門で優秀演題賞を受賞)

一人でも多くの出生児を健やかに

サーファクタントミセル(イメージ)

サーファクタントミセル(イメージ)

現在の少子高齢化社会においては、早く産まれざるを得なかった超低出生体重児を後遺症なき生存に導くことの社会的意義はきわめて大きいと考えま す。臨床応用に至るには、多くの課題がありますが、子どもたちにとって負担が少なく、自然で優しい治療法(予防法)の確立に向け、あらゆる可能性を探っていきたいと考えています。

今回の研究は本来小児科分野の研究ですが、科や学部を超えて研究に取り組むことで成果が産まれることもあります。現在、工学部の先生との共同研究も進行中です。学生のみなさんも専門分野のみならず、自らいろいろなところに出かけて、異分野に飛び込んでいくことで新たなアイデアが生まれ、ブレイクスルーが起こるのではないかと思います。

今ハマっていること★

teach_nishi04昔からプロレスが大好きです。今は時間がなくてテレビ観戦もままなりません。自分のデスク周りにおいているプロレスのフィギュアたちに癒されています。