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人類の脅威となる感染症を防ぎ病を克服する

伊保 澄子 先生

医学部
生体防御研究室
伊保 澄子 先生

医学部 生体防御研究室

伊保 澄子 先生

体を守るスーパーシステム

開発した人工DNA(産・官・学共同研究, 特許:3976742, US7718623)A: アデニン, T: チミン, G: グアニン, C: シトシン

開発した人工DNA(産・官・学共同研究, 特許:3976742, US7718623)A: アデニン, T: チミン, G: グアニン, C: シトシン

細菌やウィルスなどの病原体が体に入ろうとすると、大部分は皮膚や粘膜などで阻止されますが、僅かに潜り抜けて体に入り込むことがあります。この場合、常に体中を監視している免疫系の細胞がそれらを「非自己」として判断し、一致団結して戦います。がん化した細胞や移植などで体に入ってきた他人の細胞など、異質な細胞に対しても同じように働きかけます。このように免疫系は精巧かつ複雑なシステムを働かせて、私たちの体を病気から守ってくれています。

80年代より私は、細菌を使ってがんに対する免疫機能をアップさせる研究に取り組んできました。そのなかで、特定の構造のDNA(デオキシリボ核酸)ががんに対する免疫を活性化する可能性を明らかにしました。

研究開始当初は遺伝情報を担うDNAが免疫を司っていることは知られていませんでした。しかし、生命医科学の進歩と共に、ヒトや微生物のゲノム(全遺伝情報)が解明され、免疫システムの詳細も次々と明らかにされ、DNAはその中で重要な役割を担っていることがわかりました。現在では免疫を活性化するDNAに対する受容体も 明らかになっています。

一方、難病と呼ばれる疾患がいまだ多くあり、その半数が免疫に関するものであることも事実で、難病の解明とその治療法の開発など、課題は数多く残されています。免疫学は成熟の段階から先進的な治療や予防の研究へ進む段階に来ているといえます。

免疫の再活性化

ツベルクリン反応による結核免疫の評価例(モルモット)上:結核免疫が弱いモデル; 下:結核免疫が強いモデル写真提供:日本BCG研究所・山本三郎博士, 国立感染症研究所・前山順一博士

ツベルクリン反応による結核免疫の評価例(モルモット)上:結核免疫が弱いモデル; 下:結核免疫が強いモデル写真提供:日本BCG研究所・山本三郎博士, 国立感染症研究所・前山順一博士

最近私は、BCGゲノムの一部をまねた人工DNAを開発しました。このDNAはマウスでアレルギーの発症を抑制するので、アレルギー治療薬への応用が期待されます。

昨年より、ワクチン接種によってできた免疫を再度活性化させるため、人工DNAを使えないか研究しています。近年、結核を発症する人が増えています。結核は、感染症であり、重症化すると死に至ることもある怖い病気で、ワクチンであるBCGを生後6ヵ月未満に接種することになっています。一回の接種で一生効果があると考えられてきましたが、実は15年程度しか有効ではないとも言われています。「もう一度BCGを打てばよいのでは?」と思われる方もいると思いますが、再度BCGを接種するとコッホ現象(二度接種した後の皮膚が腫れる病変)を起こすことがあるため、2回接種することはできません。そのため、すでに持っている結核に対する免疫を増幅させる「免疫増強剤」としての人工DNAを取り入れた製剤を開発し、産・官・学共同で特許を出願したところです。(特願2011-080646)

今後は、初心に帰って、人工DNAを、もともと研究していたがんに対する免疫を増強する技術に応用開発したいと考えています。

今ハマっていること★

teach_i04学生たちと月に1~2回、夕方に免疫について学ぶ「免疫いろは講座」を開催しています。受講は自由。詳しくは松岡キャンパス掲示板で。