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エンジンの燃焼を化学する

酒井 康行 先生

大学院工学研究科 機械工学専攻
酒井 康行 先生

大学院工学研究科 機械工学専攻

酒井 康行先生

機械と化学

自動車は、燃料と空気(酸素)の混合気体が爆発して起こる燃焼を動力にしていることは多くの人が知っていると思います。では、エンジン内部で、ガソリンがどのような化学反応を起こしてい るのかをわかりますか?実はこのことは、機械工学の専門家でも、なかなか説明することができない領域です。

自動車が誕生するのは1800年代ですが、その頃から、車を動かすことを最優先し、研究や技術開発が行われてきたため、燃焼の化学反応についてはあまり考えられていませんでした。しかし、排ガス規制や燃費向上などの問題がクローズアップされるようになり、従来よりも高効率で、省エネにつながる自動車の開発のためには、エンジンで起きる化学反応の解明も必要になってきました。

化学反応の見える化

エンジンの熱効率は、エンジン内部の気体を圧縮すればするほど、高まりますが、炎が綺麗に燃え広がっていく前に勝手に火がついてしまう「ノッキング」と呼ばれる現象が発生しやすくなります。この現象がどういう化学反応のメカニズムで起こるのかを解明できると、大きなブレイクスルーになります。

現在、取り組んでいるのは、熱力学、量子化学、化学反応速度論などの分野の知識を応用して、分子のひとつひとつの反応(=素反応)を積み重ね、実際に起きている燃焼現象に迫る作業です。例えば、ガソリンの代表的な成分であるノルマルヘプタン(炭素7個から構成される成分)が燃焼する時は、中間体が1000個あり、1/1000秒の間に、段階的に2000の素反応が起こります。この反応を記録して、実際にエンジンの中を模擬した着火までのシミュレーションをコンピュータ上で行い、化学反応のネットワークを解析しています。最近の研究で、ここから着火に直接、関与する素反応数は100~200個に絞り込めてきました。さらに解明が進むと、エンジンの高効率化に最適な成分の組み合わせや燃焼も導けるのです。

日本では燃料電池車やハイブリッド車に注目が集まり過ぎて、ガソリンエンジンの研究は欧米に先行を許してしまいました。これに対抗するべく、国内でエンジンの研究を進めるために23の研究グループが結集しました。私はその中で燃焼の化学反応のシミュレーションを担当します。自動車の技術開発は企業が主に行いますが、エンジン内部の化学反応や流れといった学術的な基礎研究は大学が得意とするとこ ろです。学術研究の成果はすぐに出るものではありませんが、ゴールを描くことは可能です。様々な仮説を立てながら、目的に向かっていくことが、成果を出す一番の近道だと思います。

今ハマっていること★

teach_sakai03福井にやってきて7年目になります。休日は、三国で海鮮丼を食べたり、下市山にハイキングに出かけたり、あわら温泉につかったりしてのんびりと田舎生活を満喫しています。