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社会に価値を認められた研究で電池の限界を超える

米沢 晋先 生

産学官連携本部
(大学院工学研究科材料開発工学専攻)
米沢 晋 先生

産学官連携本部 (大学院工学研究科材料開発工学専攻)

米沢 晋 先生

フッ素を使って物質の潜在能力を引き出す

私たちの身の回りにある物質には、それぞれに秘められた能力があります。その潜在能力を最大限に引き出すことが材料設計の面白さです。私が今、注目しているのは、電子を引きつける力(電気陰性度)が強く、一旦結合するとなかなか変化しないという特性をもつフッ素です。強力に水や油をはじくフライパンや鍋の加工には、多くのフッ素が使われています。フッ素がもともと持つ力を活かすことができれば、ごく微量でも十分に力を発揮できるのではないかと思い、新材料開発の「かくし味」になると考えました。

図1 微粒子粒界マッピング

図1 微粒子粒界マッピング

リチウムイオン電池の電極をミクロに観察すると図1のように、小さな区画が寄せ集まってまだら模様になっています。微量のフッ素をその表面や区画の境界に配置すると、フッ素が電子を引きつけ、めっきのような表面保護効果が得られます。すると電池として長持ちするようになるので、大容量で安全なリチウムイオン電池が実現でき、電気自動車や家庭用蓄電池の普及に貢献できると期待しています。

産学官で研究の価値を高める

私は学生時代、電池を含む電気化学を研究対象とする研究室にいました。この分野は理論と実践が非常に近く、企業に就職した先輩が頻繁に教員のところに質問に来るなど、「企業との共同研究」が全く浸透していなかった時代に、自然と企業の方と話をする機会がありました。その経験から「企業の人がやってみたいけどやれないテーマで、独自のことは何だろう?」と始めた研究は、その後価値を認めていただいた企業の方々の支援により成果となり、産学官連携の輪となって広がっていきました。

研究を仕事にする時には、内容に価値を与えることが必要ですが、価値があるかどうかは、あくまで他人が認めてくれることです。産学官連携では他者の反応がダイレクトに返ってくるため、厳しい反面、自分の研究の価値をより広い社会の中で実感することができます。また、目的がはっきりすると、「失敗」と思っていた結果も「何か別の視点で見れば役立つものだ」と考えられるようになります。

将来の自分の姿をイメージする

本学の産学官連携活動には、200を超える企業が参加し、人材育成や共同研究などを行っています。学生のみなさんも在学中に産業界と触れる機会が多いので、積極的に関わって欲しいと思います。自分が学んでいる講義や実験がどう繋がるかなど、将来の自分の姿をイメージしやすくなり、就職活動のヒントが得られたり、学習の意識が変わったりします。是非、学びや研究を社会と近い場所で経験できる機会として活用して欲しいですね。

また、本学の卒業生も技術相談に来ます。特に企業ではどうしても追えない基礎科学的な要素を明確にすると、今まで進まなかった技術開発が進んだり、品質が向上したりと、成果が生まれています。基礎科学的な部分の解決は、時間はかかりますが、実は長期の利益へと繋がります。

産学官連携本部は、学生や企業人、教員、研究員がそれぞれ課題を持ち込み、知識や技術を組み合わせることで新たな研究となり、成果が生まれるところです。「邪魔になるのではないか?」と思わず、アイディアや疑問をどんどん持ち込んで下さい。

今ハマっていること★

teach_yonezawa22ケーキやお菓子作りが趣味です。化学実験の手順と基本動作が似ているので、化学系の研究者で料理をする人は多いです。娘に喜んでもらえると嬉しいですね。