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宇宙の起源を求めてニュートリノ崩壊を探索する

吉田 拓 生先生

大学院工学研究科物理工学専攻 教授
吉田 拓 生先生

大学院工学研究科物理工学専攻 教授

吉田 拓生 先生

これ以上ない! を追う

目には見えないくらいの小さな、小さなひとつの点から宇宙は始まった…。それが、138億年前に起こったビッグバン(大爆発)です。その点の正体を知りたいと強く願うのが、素粒子物理学者です。素粒子の「素」は「もと」。その物質の素となる粒子が一体、何なのか、物質をこれ以上分解することが出来ないところまで分解することによって、日々追い求めているのです。

米国にあるフェルミ国立加速器研究所で、光速近くまで加速した陽子と反陽子を正面衝突させて分解し、その中から様々な素粒子を生成する実験に携わってきました。この実験では、もともと陽子や反陽子が持っていたエネルギーが質量(重さ)に変わり、まったく新しい粒子が誕生するという現象が見られます。そのような現象を詳しく分析し、1994年には、未知の素粒子のひとつであったトップクォークが見つかりました。物質に質量を与えているとされるヒッグス粒子も、欧州での発見と同時期に、私たちの実験でも発見されました。

実は宇宙はとっても身近

宇宙にはさまざまな粒子が飛び交っています。その中でも、ニュートリノという名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。ニュートリノとは、いわば電荷をもたない電子。ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊先生は超新星から飛来したニュートリノを発見しましたが、私が研究しているのは、宇宙がビッグバンによりできた時に生まれたニュートリノです。このニュートリノは宇宙のいたるところにあまねく存在し、1ccあたりに100個はあると言われています。みなさんの身体の中を毎秒何百個も突き抜けたりしているはずなのです。こんな身近なところにたくさんあるはずなのに、138億年前から始まった宇宙の膨張によって、ニュートリノのエネルギーが極度に低くなり、検出することが難しいため、未だに正体をつかんだ人はいません。

ところが最近、ニュートリノに質量があることがわかり、重いニュートリノが光子(光の粒)を放出して軽いニュートリノに崩壊する可能性がでてきました。宇宙にはエネルギーが低くてもたくさんのニュートリノが存在しており、その光子であれば観測することができるはずです。この光子を検出するため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や筑波大学と共同で、検出器をロケットに積み、 平成28年ごろには宇宙で観測できるように計画を進めています。福井大学の遠赤外領域開発研究センターには、その光子と同じエネルギーの光を発するレーザーがあります。そのレーザーを使って検出器の性能試験を始めます

このニュートリノの正体が明らかになっても、すぐに何かの役に立つわけではありませんが、私たちの宇宙や素粒子に対する理解を飛躍的に深めてくれるはずです。

新しい発見をすることは、自分の強みになります。学生のみなさんもぜひ、実験をして、〝今までにない.を見つけて下さい。

今ハマっていること★

p11-3
中学生の頃に読みふけっていた古いSF小説を、最近また読み返しています。タコのような姿の火星人や個性的な博士たちとの再会を楽しんでいます。