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繊維で表現する 組織の立体構造

藤田 聡 先生

工学部
工学研究科 繊維先端工学専攻
藤田 聡 先生

工学部 工学研究科 繊維先端工学専攻

藤田 聡 先生

広がる繊維の可能性

私が所属する専攻はこの4月からファイバーアメニティ工学専攻から繊維先端工学専攻となり、文字通り繊維技術に特化した研究を行っています。近年では、ひと言に繊維といっても、最先端の航空機や車のボディに使われ、鉄の変わりにもなってしまうほど、繊維は形を変えながら多くの可能性を広げており、この柔軟性の高さは材料として非常に面白いと思っています。

大学院時代に行っていた人工肝臓の研究は、肝細胞についての生物学的な知識と血液を流しやすくする材料工学の知識の両方が必要でした。現在も、生物学と工学の二つの領域を行き来しながら、再生医療に役立つ生体材料の研究を進め、繊維を医療材料へと展開する研究を行っています。

繊維を医療分野に

医療基盤技術の発展のためには、さまざまな生体モデルが欠かせません。しかしヒトの体の組織は、繊維から構成される複雑な構造。解析は難しいのが現状です。そこで私は極細繊維・ナノファイバーを使うことで、細胞周辺で複雑に絡みあう繊維状の構造を表現し、生体内で起こる現象を観察するための生体モデルを開発しました。

合成高分子で作られたナノファイバーの上を移動していく細胞(矢印は細胞の両末端を示す)

合成高分子で作られたナノファイバーの上を移動していく細胞(矢印は細胞の両末端を示す)

これを使って詳しい解析を行っています。たとえば、がん細胞が体内組織の中でどのように転移していくのかを知るためには、その動きの経過を見る必要があります。ただ単に、断片的に細胞を採取し、シャーレの中で培養させるだけでは、がん細胞を見るだけにとどまってしまいます。そこで、コラーゲンゲルの中にナノファイバーを張った生体モデルを作成すると、がん細胞が浸潤し、遊走する状態を観察できます。

このほか、ナノファイバーは方向の向きを組織の状態に合わせることができます。みなさんには、軽い切り傷などの処置に、ハイドロゲルのばんそう膏を使われた経験はありませんか。従来のばんそう膏とは違って、ハイドロゲルのばんそう膏は、湿潤環境を作り、元に再生する細胞を集めるので、治りが早かったのではないかと思います。このハイドロゲルばんそう膏に組織がもともと持っている異方性に沿い、ナノファイバーを入れると、さらに細胞の動きがよくなり、増殖や分化が起こりやすくなるので、早期の治癒につなげることができるのではないかと考えています。

何でだろう?の日常を

バイオミメティック工学研究室にて

バイオミメティック工学研究室にて

私のBiomimeticバイオミメティック研究室は英語のBio(生物)とmimic(模倣する)の造語にあるように生物や生体に習ったことを研究に生かしています。たとえば、ニイニイゼミの幼虫の抜け殻の表面には、マイクロメートルサイズの細かい繊毛があります。これはなんのためだろう?と疑問を持ったことが、材料の設計に繋がることがあるかもしれません。研究は「何でだろう?」と問いかけて、探究していく場所であると思います。

今ハマっていること★

DSC_0982

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虫採りです。子供に付き合ってバッタやセミを追いかけていると童心にかえります。昨年の夏には,インドネシアに旅行に行き,子供と一緒に虫採りツアーに参加しました。日頃見慣れない大きなバッタやカブトムシを採って大満足。なかでも興味を引いたのはコノハムシ(写真)で、葉っぱの形に擬態(mimic)しています。