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将来の月・惑星探査成功のカギを握る地盤工学

小林 泰三 先生

大学院工学研究科
建築建設工学専攻
小林 泰三 先生

大学院工学研究科 建築建設工学専攻

小林 泰三 先生

月・惑星へ進出するために

teach_koba02近年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)をはじめ、世界各国で月や惑星の着陸探査計画が具体化してきています。月や火星などの表面に着陸する探査ミッ ションでは、探査機の着陸や探査車両の走行、観測機器の設置のための地盤の掘削や整地など、土壌に関連する作業が多く見込まれることになります。月や惑星の表層には「レゴリス」と呼ばれる細かい土粒子が厚く堆積していることは知られていますが、探査にどのような影響を及ぼすのか分らないことも多く残っています。2003年にNASAが火星に送った探査車が砂地の走破にたいへん苦労しました。これまでの軌道上の探査とは異なり、未知の大地に着陸して探査をするとなると、その大地を構成するレゴリスがどのように振舞うのかを予測し、探査機器の設計や運用に活かしていくことがミッション達成のカギとなります。

探査に必要とされる地盤工学

研究中の月・惑星探査の車両モデル

研究中の月・惑星探査の車両モデル

私はもともと宇宙とはあまり関係のない土木工学分野の出身で、現在もその一分野である地盤工学を専門としています。地盤工学は、建物や道路、橋 などの社会インフラ設備を支える地盤とそれを構成する土の力学的挙動の解明を軸に発展してきた研究分野ですが、私はその専門性を背景に、将来の月面基地構築を念頭においた「月面地盤工学」の創成を目指した研究を進めています。

これまでには、月面土を精密に再現した模擬土を開発し、その変形や強度特性を明らかにするとともに、低重力環境や高真空環境下におけるレゴリス の挙動に関する研究を行ってきました。その中でも特に思い出深いのは、低重力環境を再現するために航空機を利用した実験です。この研究では、探査車輪の走行性や構造物の安定性、土粒子の流動特性などを解明するための実験装置を航空機内に持ち込み、空中で航空機が自由落下する間に実験を行うというものでした。その結果、土質や重力環境が異なると、レゴリスの挙動に大きな変化が現れるということが分かり、JAXAをはじめ、世界の宇宙開発研究者らに月・惑星における地盤工学の重要性を訴える大きな契機となりました。

現在では、スリップしにくい車輪の開発や安定した車両の走行制御に関する研究のほか、月面を掘削して土質を調べるための探査装置(JAXA次期月探査計画セレーネ2のミッション機器候補)の開発代表を務めるなど、実践的な研究開発を進めています。

将来的には、研究領域を「月面地盤工学」から「宇宙建設工学」へと拡大し、月面基地や月面都市を可能にする総合工学へ発展させていきたいと考えています。

小林先生は平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞されました。

今ハマっていること★

teach_koba04世界の聖地を訪れ、様々な祈りや願 いのかたちに触れることが好きです。 ときには砂漠、ときには大河、とき には険しい山の頂上。。。