学生団体「machi☆コラ」は〝まちでコラボ.をキーワードに、様々な大学や学部の学生たちがまちへ飛び出し、新しい発見や驚きを得られるようなイベントを開催しています。医学部生から広がったこのプロジェクトの主要メンバーとアドバイザー的存在である医学部の紅谷浩之先生にお話をお聞きしました。
宇戸谷 私はもともと地域医療に興味を持っていたんですが、勉強を重ねるにつれて医師だけで地域医療はできない、地域の人を支えられないと感じるようになりました。医学科生と看護学科生がそれぞれ学んでいることを共有し合う場があれば、もっと連携して地域医療に取り組めるのではないかと思ったのが「machi☆コラ」を立ち上げたきっかけです。当初は医学部の学生中心でしたが、今では同じような気持ちを持った人たちが他学部、他大学から集まっています。
松倉 私は大学院で建築を専攻しています。医学部の知り合いから宇戸谷さんとつながり「machi☆コラ」を知りました。医学部生がまちづくりをすると聞いて「やばい!負けてる」と焦りましたね。5月に行われた第1回目のイベントでは、他学科の人たちとそれぞれが学んでいる内容などを発表し合い、新鮮な驚きがありました。
宇戸谷 松倉さんを誘ったのは、イベントの10日前くらいでしたよね。今まで4回のイベントを開催しましたが、他の学科の特色や福井の魅力について語り合ったり、まちで活躍している人にお話を聞いたりと、知らない世界を知れるのはすごく素敵だなって実感していますね
松田 私は出身が福井で、東京の大学で心理学を学んでいます。県内で開催された地域医療のイベントで宇戸谷さんと知り合い、Facebook でお互いの活動を紹介し合う中で「machi☆コラ」を知りました。いろいろな人と知り合うチャンスだし、面白そうだし、一緒にやってみたいと思いましたね。ずっと心理学にいると、心理学だけで人の心が救えるんじゃないかと錯覚してしまうんですが、「machi☆コラ」に参加して、それは違うと思うことができました。どの分野もそれだけでは花が咲かない。連携して初めて人の役にたてるんだと。
紅谷 専門性を高めると視野が広がったように思いがちですが、実際はそうではないんです。医師も建築士も心理士も専門性の高い仕事ですが、専門性が高まると地域に出なくなり、どんどん視野が狭くなっていくことがあります。それに気づかずに専門性を振りかざしてしまう人も多くいます。自分にできることは限られていることを自覚して、それぞれの専門性を尊重していくことで、自分の裾野を広げることができるのではないかと思います。
宇戸谷 紅谷先生は以前、私に「何かを得ることは同時に何かを捨てることだ」という言葉をかけてくれましたよね。確かに、私が医学の勉強をしている時間は他のことを吸収できない時間でもあります。そのことをもどかしく感じたときもありましたが、今は自分の専門性に責任を持つことを大事にしています。結局は、いろんな色を持った人が手を繋いで円になって人や地域を支える。そのためにも、繋がっていく、チームを作るということが「machi☆コラ」をやりながら見えてきました。
紅谷 私がそれに気づいたのは医師になってから。学生の間に気づいた皆さんがこれからどんな風に伸びていくのか、本当に楽しみです。