今年も新入生を迎える季節になりました。高校と大学の違いや、大学生として必要な心構え、充実した大学生活のために大学が取り組んでいる改革などについて、副学長で教育・学生担当理事の寺岡先生と先輩学生にお話を聞きました。
[参加者]
寺岡 英男先生/理事(教育・学生担当)・副学長
海野 佳子さん/教育地域科学部学校教育課程4年
菅野 徹さん/医学部医学科5年
清水 洸佑さん/工学部物理工学科4年
海野さん
寺岡 高校では基本的に学ぶ範囲や内容が決まっていたと思いますが、大学の場合は共通教育と専門教育に分かれていて、それぞれ様々なカリキュラムが用意されています。それらの中から自分の目的や関心に沿って主体的に「学習をデザインしていく」ことが求められます。皆さんは、実際に入学してみて、どんなことを感じましたか。
海野 大学では一つひとつの試験に緊張感を持って臨むようになりましたし、進路のことなど、自分で決めることが多くなったと感じています。
菅野 多種多様な情報をインプットすることで、自分の意見を発信する力を高めていきたいと考えるようになりました。そのためにも、外部から講師を招くなど社会人と接する機会を今以上に増やしてほしいですね。
清水 大学には履修登録があって、自分で考えて行動する最初の一歩になりました。しかし、入学したばかりで分からないことも多く、しっかり設計するというより、まわりの友人に合わせたり、何となくで決めているところもあったように思います。
寺岡 科目数も多いですし、はじめから自分でデザインして学びを進めるのは確かに難しいと思います。これに対応する改革の一つとして、共通科目のコアカリキュラム化を進めています。現在は一つの科目を一人の先生が担当しているわけですが、例えば「持続可能な社会環境」といったテーマについて、コアカリキュラムと関連する科目群をまとめることで、複数の先生が担当し、そのテーマに関する幅広い知識を得ることができるようにすることを考えています。
海野 共通科目を体系的に学ぶことができるのは非常に良い試みだと思います。
寺岡先生
寺岡 現在、大学には、専門の技術や知識を学び、社会で活躍する職業人としての力と、一人の市民として社会に参加し、貢献していく力をともに身に着けるための「キャリア教育」が求められています。教育改革を進める中でも、皆さんの声を聞く機会を増やしていければと思います。 本学では2年ほど前に「スチューデント・アシスタント(SA)」という制度を作りました。学生が、大学のスタッフとして後輩学生の学習支援や、入試、オープンキャンパスの手伝いなどを通して大学の運営に参加する仕組みです。今後はSAの皆さんが活動の成果を発表し、伝え共有する場を設けるなど、次につながる活動に広げていければと考えています。
海野 私自身、グローバル・ハブのSAをやっています。やりたいことを皆で考えて実現できるのでやりがいもあるし、面白いです。ただ、友だちの中にはハブの存在を知らない人も多く、もっとたくさんの人に伝えていきたいと思います。
菅野 グローバル・ハブというのはどんな施設なのですか。
海野 留学生も私たち日本人の学生も自由に出入りできる交流ラウンジのようなところです。季節に合わせてイベントを行ったりしています。私はSAになる前から利用していたのですが、英語を話せないといけないというイメージがあるらしく、英語専攻以外の友だちを誘ってもなかなか来てくれません。留学生の皆さんは日本人学生との交流を求めていますし、決まった言語を使わなければいけないということはなくて、お互いを高め合える場所として使ってもらえればいいのではないかと思います。
菅野さん
寺岡 工学部では昨年4月から、週2回の実践的な英語の授業を行っています。これまでの英語教育と違って、実際に英語でコミュニケーションする力をつけられるように、専門のインストラクターの数を増やし、少人数での丁寧な教育をスタートしています。教育地域科学部もこの4月から同じシステムではじめますので、学生さんの英語に対する認識もかなり変わってくると思いますよ。 また、文京キャンパスでは図書館の2階にLDC(言語開発センター)という施設を作り、英語が楽しく学べるように工夫しています。この施設は好評で、医学部にももうすぐ出来上がります。社会のグローバル化が進むに従い、グローバルに活躍できる人材が求められており、国も積極的に予算をつけています。その一つが「グローバル30プラス」という文部科学省の事業で、学生に海外で学んでもらう機会をつくる取り組みを進めています。東海北陸の国立大学では本学が唯一の指定を受けており、去年は200人近くの学生を海外へ送り出しました。
清水 私も去年、タイのタマサート大学を2週間訪問し、自分たちで課題を見つけて行動するフィールドワークを実践しました。この留学で、コミュニケーションツールとして英語が大切であることを再認識しました。帰国後は、LDCに通いリスニングやスピーキングの自主学習をしています。
菅野 私は医学部でECSという英語での医療面接やプレゼンテーションを学ぶサークルの学生代表をしています。将来、外国人の患者さんとコミュニケーションを取ったり、海外の研究論文を読んだり、発表をするために英語は不可欠だと考えています。
清水さん
寺岡 英語に関しては他の大学と比べても引けを取らない優秀なインストラクターをそろえています。優れたスタッフと施設が整っていますので、ぜひ、活用していただきたいですね。また、大学に入ると生活面や経済面など環境の違いに戸惑うことも多いと思います。そういった心配ごとなどを何でも相談できる「学生総合相談室」という施設もあるので、気軽に活用してほしいと思います。 最後に新入生にメッセージがあればお願いします。
海野 友達作りや勉強、授業関係のことなど、高校までと違う点も多く、悩むこともあるかもしれませんが、いろいろな人を頼りながら前向きに頑張っていってほしいと思います。
菅野 大学生活は自由なので、自分の好きなことに情熱を注いでほしいですね。それを発信していくことで新たな繋がりができ、可能性が広がっていくと思います。
清水 だらだら過ごすのではなく、目標を持って過ごしてほしいと思います。私は「留学生と熱い思いを語り合う」ことを目標に勉強を頑張っています。
寺岡 先輩の皆さんが言われたことを大切に、一人で頑張るのではなく、仲間や先輩、教職員のサポートを活用しながら充実した大学生活を過ごしてください。