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迷いながらも決めた道 背中を押したのは使命感

日本原子力研究開発機構 原子炉廃止措置研究開発センター 環境管理課/大学院工学研究科 原子力・エネルギー安全工学専攻 博士前期課程2014年修了

山本 耕輔さん

福島の事故に衝撃「やらなければ」の気持ちに

現在の勤務先となった核燃料サイクル工学研究所での実習

 私が石川工業高等専門学校生のころは「原子力ルネッサンス」と謳われ、原子力は、これから社会になくてはならない技術として注目を浴びていました。出身地の石川県内灘町の近くには北陸電力の志賀原子力発電所もありましたし、インターンで日本原子力発電の敦賀原子力発電所を見学し、電気設備についてもっと学びたいと思い、福井大学工学部の電気・電子工学科に3年次編入しました。
 その年の3年生の春休みに東京電力の福島第一原子力発電所の事故が発生し、衝撃が走ったことは鮮明に覚えています。当時は原子力安全工学の副専攻に所属し、原子力と社会の調和を考える「リスクコミュニケーション論」という学問領域を知ったところでした。本来この学問は原子力発電所を建設する前に、立地地域にどのような影響があるのかなど、さまざまな想定を考えて、地域との共生や安全策を講じるものです。今の日本の現状を考えると、原子力発電所は既にあり、原子力への理解を立地住民の方々に求めることは、「説得」になるので、コミュニケーションとして成り立たないと感じていました。授業を担当していた山野直樹特命教授は「どうしていくといいと思う?」と私たちに問いかけ、いろいろな方向に考えを巡らせました。
 福島事故後は多くの人が原子力に不信感を抱いていますから、この分野に進んで良いのか迷ったのも事実です。でも、こんな時だから「やらなければ」という気持ちが芽生え、大学院の原子力・エネルギー安全工学専攻に進学しました。

作業員の放射線量を測定現場の把握に努める

秋の原子力学会を終えてお疲れ様会

 博士前期課程を修了後、敦賀市にある日本原子力研究開発機構の原子炉廃止措置研究開発センターに勤務し、3年目を迎えました。現在は新型転換炉「ふげん」の解体作業を進めるための放射線管理を担当しており、作業従事者の受けた放射線量を測定しています。積極的に現場に行き、先輩から学ぶ日々ですが、今年からは持ち場を任せてもらえるようになりました。
 修士論文を書くために、福島原子力事故の調査報告書を精読し、マニュアルがあっても現場を理解することが重要だと痛感し、自分だけでなく、他の作業員もどんな業務にあたっているかなど、現場をより把握することに努めています。

自分の視野を広げるチャンス

 ふげんは、平成34年には原子炉本体の解体作業に着手する予定です。廃止措置というと、なくなるイメージが強いですが、安全に解体するための技術を考えるために新しいものづくりと言ってもよい技術開発が常に行われている分野です。
 原子力分野への進学は、全国各地の施設見学や他大学の人とのディスカッションなどが非常に多く、自分の視野を広げるチャンスをたくさん得ることができます。業界も若い力に期待してくれています。ぜひ、多くの学生さんに挑戦してもらいたいですね。