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故郷の水害で深まった 災害看護を探求する心

福井大学医学部看護学科臨床看護学講座 成人・老年看護学 助教/平成27年度福井大学大学院医学系研究科修士課程 看護学専攻災害看護専門看護師教育課程 修了

酒井 彰久さん

医療現場を知り看護の学びを深める

 2010年に福井大学を卒業し、看護師として、医学部附属病院の脳外科に6年間勤務しました。大学院に災害看護専門看護師課程が設置された2013年から同課程で学び、今春、最初の修了生となりました。今年4月からは看護学科の助教として、後輩の教育と研究にあたっています。
 脳外科病棟で看護師の仕事をしていたころは、脳の障害などで体に麻痺が残る患者さんが少しでも自分の力で生活できるようにサポートしていました。元気になって退院されていく時やお礼を言われた時は、看護師の仕事に就いて本当に良かったと思いました。
 大学の同期生は60人で、このうち男性は私を含めてわずか5人。医療の現場ではまだまだ数は少ないですが、男性だからこそ感謝されることもあります。ベッドから車椅子に移すときなど、患者さんから「男性のほうが安心して身を任せられる」とよく言われました。

災害看護専門課程での実践的な学びが役立つ

野球部だった学生時代(賞状を持っているのが私です)

 看護師として働きながら夜間の災害看護専門看護師課程の講義を受けるのは大変でしたが、大きな成果を得ることができました。東京の日本赤十字看護大学、日本赤十字広島看護大学でも同じ時期にこの課程がスタートしたのですが、日赤の両校が28単位なのに対し、福井大学は38単位です。単位数が多い分、看護理論など一般的な講義に加え、災害現場での看護、健康維持に関する実習をはじめ、より実践的な科目が多く盛り込まれています。
 熊本地震の被災地では、学生、大学院生とともに支援活動に携わりました。大きな揺れが相次ぎ、余震に身構えながらの活動でしたが、被災した方たちの窮状を目の当たりにして災害看護の重要性を改めて確認させられました。被災地では、仲間とともに被災者の健康上の問題を整理し、解決を図る上でこれまでの学びが大いに役立っています。

災害に備える意識を学生に浸透させたい

実習で川口めぐみ講師らと

 災害看護に興味を持ったのは、大学在学中に酒井明子教授の講義を受けたことがきっかけでした。大学3年生の時には、出身地の愛知県岡崎市が大きな水害に遭い、被災状況の調査を卒業研究のテーマにしたことで災害看護への関心は一層深まりました。時を経て熊本で被災者に接し、私自身も余震を経験して、「いつ、どこで災害が起こるかわからない」という思いを新たにしています。今後はその意識を学生たちに浸透させ、いざという時に病院内の患者さん、病院外の被災者を守る最適の方法をとれるようにしたいと思っています。また、酒井教授のもとで災害看護をさらに探求し、研究成果を発信していきたいですね。
 医学部は附属病院の病棟に近いため、最先端の医療に接する機会が多く、図書館も24時間利用できるので、学びの環境が充実しています。
 看護師を目指す学生の皆さんには勉強だけでなく、いろいろなことを経験し視野を広げてほしい。時として患者さんは思っていることを口に出せないこともあります。患者さんに寄り添い心を通わせる、そんな看護を実践するための力を高めてください。