大学で学んだ「気づき」の大切さ。
自分で導き出した答えは
人生の宝物になる
- ナレーター、MC、朗読家、音楽指導者
- 岡田 健志さん
- OKADA Kenji
- 2007年度 教育地域科学部(現・教育学部)学校教育課程 音楽教育サブコース卒業
母校の吹奏楽部も指導。 課外活動に没頭した日々
子どもの頃から音楽が得意で、幼稚園児なのにビブラートをかけて歌っていたんですよ。
高校卒業後は、憧れていた吹奏楽部の恩師が福井大学教育学部出身だったこともあり、同じ大学で音楽教師を目指すことにしました。大学時代を振り返ると、部活三昧の毎日。大学内の吹奏楽部で活動するだけでなく、母校である三国中学校の吹奏楽部で指導もしていました。学外で経験を積むことで、将来、教育現場に立ったときに即戦力として役に立つのではないかという思いがありました。
大学の授業や実習では、「気づき」の大切さを学びました。「気づき」とは子どもが自分で考え、答えを導き出す力のことですが、最初は、その重要性をわかっていませんでした。「答えをわかりやすく教えたほうが早いんじゃないか」と。ところが、教育実習に行ってみると、子どもの自主性をうまく引き出す先生たちの様子を目の当たりにして、私自身が気づいたのです。自分で見つけたことって楽しい、自分で導いた答えはずっと残る、人生の宝物になると。
「好きなことより、できること」 そこに価値があり、道が開ける
大学卒業後に高校で音楽の講師をしていた時、授業で教える以外の専門的な内容や共通教育などは教科担当の教師に必要がないのではと勝手に思い込み、知識に偏りがあったことに気づきました。でも、知識の深さや広さが実は重要だとわかり、迷いや挫折を経験しました。2年ほどで退職し、広告代理店の営業職に就いたこともありました。ナレーターの道へ進みはじめたのは2010年から。高校時代に、歌番組のオーディションを受けたり、CDデビューしたりとシンガーや司会者としての実績があったことから、声を武器にする仕事をやってみようと思ったんです。今は、東京など県外からのオファーが中心で、司会や朗読など仕事の幅も広がっています。ライフワークとして三国の町興しに参加し、一度はあきらめかけた教育現場で、音楽の講師も続けています。私は教育者として正統派ではないかもしれませんが、自分だからこそできる指導法があると思っています。今、学校の音楽の授業数は減り、教師も非常勤が増えているという現実がありますが、これまでの経験や人脈を生かした私らしい授業をして、生徒たちに思い出に残る音楽体験をさせてあげたいですね。
大学生のみなさんには、「好きなことより、できることに目を向けて」と伝えたいです。意外に思うかもしれませんが、私も教師としての道が「好きなこと」で、声の仕事は「できること」でした。
周りに目を向けて、得意なこと、やりたいことに挑戦してみてください。「できること」には価値があり、そこから道が開けることがあると思います。
- 教師やピアニストなどそれぞれの道を歩む大学の同期とは今もいい付き合いをしています。
- 大学3年の夏、吹奏楽部の指揮者として挑んだ北陸大会本番後の集合写真