炊きたてのご飯の香り成分を測ることに成功

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本研究成果のポイント

◆炊き立てのご飯の香り成分を正確に測定することに成功。炊飯米の香り成分の変化を細かく評価することが可能になりました。
◆炊き立てから約5分の短時間のうちに変わる香り成分の変化を評価できるようになりました。

概要

 福井大学大学院工学研究科材料開発工学専攻 教授 内村智博らの研究グループと福井県農業試験場は、ご飯の香り成分を分析することに成功しました。通常、ご飯のおいしさは、「外観、香り、味、粘り、硬さ」のそれぞれに分けて評価されます。ご飯の見た目や食感は、画像解析や機械で測定することができますが、ご飯の香りを正確に測るのは非常に困難でした。
 本研究グループは、固相マイクロ抽出(SPME)とガスクロマトグラフィー共鳴増強多光子イオン化飛行時間型質量分析法※1を用いた手法を開発しました。実験では、炊きたての「いちほまれ」のすぐ上にSPMEファイバーという棒状の試験片を5分間かざし、香り成分を吸着させました。その後、その試験片から吸着成分を脱着させ、ガスクロマトグラフで成分を分離した後、波長266 nmのレーザー光でイオン化して成分を検出しました。(簡易説明:レーザー光を照射してイオンになった成分を分析装置の真空管のなかで飛行させ、検出器に到達するまでの時間差で成分の質量を分析するもの)。その結果、ご飯の香り成分として、4-ビニルフェノール(甘い香り、子供用風邪シロップのような香り)とインドール(低濃度ではジャスミンの香り、高濃度は防虫剤のような匂い)の2つが検出されました。また、炊飯器で保温すると時間経過とともにインドールが急速に減少しました。
 さらに収穫から半年~1年ほど経過したお米を炊飯した場合、4-ビニルフェノールの量に変化は見られないものの、インドールの量は明らかに減少することなどが分かりました。
 本研究により、短時間のうちに変化するご飯の香り成分を分析する方法が構築されました。今後、「いちほまれ」と他品種との香りの違い、保温による劣化のしにくさ、古米化の進み具合などについて、ご飯の香りという視点から研究を進めていくことで、消費者の好みに合うお米の提案や地域農業の発展などへの貢献も期待されます。
 本研究の成果は、2020年8月4日付アメリカ化学会発刊の学術誌「ACS Omega」で公開されました。

*本研究は、2017年より、福井県農業試験場と福井大学大学院工学研究科 材料開発工学専攻 教授 内村智博の研究室によって実施されました。

論文名

Using SPME-GC/REMPI-TOFMS to Measure the Volatile Odor-Active Compounds in Freshly Cooked Rice
(固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフィー共鳴増強多光子イオン化飛行時間型質量分析法による炊きたてのご飯中の揮発性香気成分の測定)

著者

Ryo Shinoda, Keita Takahashi, Shunsuke Ichikawa, Misato Wakayama, Asako Kobayashi, Shinobu Miyagawa, and Tomohiro Uchimura

掲載誌

「ACS Omega」

DOI

http://doi.org/10.1021/acsomega.0c03037
プレスリリース資料はこちらをご覧ください。

研究者情報

内村 智博 教授

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│ 2020年8月24日 │
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