本学医学部は、医学科と看護学科の新入生が医療人になるために必要な基本的態度・知識・心構えを習得する「大学教育入門セミナー」を多彩な講師を招いて実施しています。
5月16日は、日本の宗教学者であり、視覚障がいを持つ研究者として知られる国立民族学博物館の広瀬浩二郎教授が講義を行いました。
広瀬教授はユニバーサル・ミュージアムの概念を提唱し、視覚に頼らない多感覚的な展示手法を通じて、誰もが楽しめる博物館のあり方を追求しています。
広瀬教授は、13歳で失明した経験から医療に対する期待と限界、そして視覚障がい者としての日常生活での困難と、それを通じて得られた人との触れ合いについて話しました。医療従事者は「病気を治す人」という一般的なイメージを覆し、「治らない」障がい者とどう向き合えばいいのかと問題提起した上で、「治る/治らない」という二分法や近代的な二項対立の価値観・世界観を乗り越える新たな医学の可能性を提案。また、博物館での活動を通じて、視覚に偏った展示方法を見直し、誰もが楽しめるユニバーサル・ミュージアムを目指す取り組みを紹介しました。
受講した学生は「もともとユニバーサルデザインの考え方について興味を持っていた。広瀬教授の講義は大変興味深く、医療の道を志す者として新たな学びを得ることができ、とても勉強になった」と話しました。
講義を行う広瀬教授
講義の様子