◆出芽酵母を用い、外的刺激に対する一細胞ごとのエピジェネティックな遺伝子発現変化を追跡しました。
◆外的刺激に対する細胞ごとの応答性の違いが、過去の発現変動パターンに依存していることを明らかにしました。
◆従来考えられていた、発現経験によって応答性が向上する「正の記憶」とは逆に、発現経験によって応答性が低下する「負の記憶」という新たなエピジェネティックな発現制御(注1)機構を見出しました。
(注1)エピジェネティックな発現制御
遺伝子の発現は主に2つの仕組みによって制御されています。一つが、DNA 配列そのものが変化することで、遺伝子の働きが変わる制御機構です。もう一つは、DNA の配列は変化せず、DNA の化学修飾(メチル化など)や、DNA が巻き付いているヒストンタンパク質の修飾状態の変化によって、DNAの折りたたまれ方(クロマチン構造)が変化し、その結果として遺伝子の働きが変化する制御機構です。後者の DNA 配列の変化を伴わずに遺伝子の働きが制御される仕組みを「エピジェネティックな発現制御」と言います。
In the IMD2 gene of Saccharomyces cerevisiae, the expression memory suppresses the induction of expression during GTP depletion
(出芽酵母の IMD2 遺伝子において発現記憶は GTP 枯渇時の発現誘導を抑制する)
Takuma Yokosawa, Takahito Ayano, Masaya Oki
横澤 拓馬 (福井大学 大学院工学研究科博士後期課程総合創成工学専攻)
綾野 貴仁 (福井大学 大学院工学研究科博士後期課程総合創成工学専攻)
沖 昌也 (福井大学 学術研究院工学系部門生物応用化学講座 教授)
米科学誌電子版2026年5月22日オンライン掲載
アブストラクトURL:
https://academic.oup.com/pnasnexus/article/5/5/pgag179/8690432
10.1093/pnasnexus/pgag179
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